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乃村工藝社、データ活用で空間DXサービスを提供、ウェルビーイング空間づくりを支援

情報発信元:https://www.nomurakougei.co.jp/news/detail/690
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24日、株式会社乃村工藝社は、同社開発の「emograf」で利用者の感情推測を行いデータを分析、空間デザインや運営、演出に活用する空間DXサービスを発表しました。

「emograf」は、同社グループの「NOMLAB」が企画プロデュースしたサービスで、非接触型の360度カメラで利用者の表情を取得し、リアルタイムで感情の推測、可視化を行います。その際、利用者の性別・年齢層の把握、複数人の表情を同時取得するほか、感情起点での利用者の行動を分析するなど、複合的かつ多角的に空間を捉えることができます。

本サービスでは、上記で得たデータをもとに、より活発なコミュニケーションやそれによるポジティブな行動変化を促すための空間評価、改善提案が行われます。

現状、以下のようなシーンへの活用を想定しているとのことです。

■ウェルビーイング空間への活用:

感情推測の分析結果をエビデンスとして、内装デザインやレイアウト改善、運営計画に反映。企業のウェルビーイング経営や健康経営指標の評価、施設の活性化策に活用。

■コンテンツ演出への活用:

利用者の笑顔を引き出したり、感情連動による演出効果で顧客体験価値向上に活用。

同社は研究開発の一環として、2023年2月6日〜2月17日の期間で実証実験を実施しており、実験結果は4月に公開予定とのこと。今後の展望としては、施設へのサービス提供に向けてサービスデザインのさらなる開発を行っていくとしています。

【執筆者コメント】
ディスプレイ業界でトップシェアを誇る乃村工藝社。2022年に創業130周年を迎えた業界のリーディングカンパニーが目指す空間DXは、利用者に寄り添う姿勢や利用者の幸福追求への想いが土台にあると感じました。「ウェルビーイング」という言葉が多用されていたのも印象的でした。

さて、ディスプレイ業界の実態といえば、新型コロナウイルスの影響を受け2021年度時点での市場規模は、コロナ前から4000億円マイナスの約13,100億円と推定されています。同社も少なからず影響を受けているなか、2022年度第3四半期決算発表では、売上高が前年度同期比で+2.8%の増収となっており、少しずつ回復の兆しが見えてきているようです。

昨年が中期経営計画の最終年でしたので、今年度以降の新しい経営計画発表に期待したいですね。
参考資料:乃村工藝社「2022年度第3四半期決算説明資料」

そして今回のキーワードとなる“データ活用”。

以前掲載した記事で、DXにおけるデータとは、外のリアルタイムデータのことであるとお話しました。いわゆる基幹システムが扱う売上・販売・会計等の既存データ単体では有効活用できず、外のリアルタイムデータとかけ合わせることが必要です。

まさに、今回乃村工藝社が取得、活用しようとしているのはこのリアルタイムデータであると考えます。「emograf」で獲得する利用者の感情というリアルタイムデータと、施設が蓄積してきた既存データの相関関係を分析することで、利用者がより心地よく過ごせるウェルビーイング空間づくりのためのソリューション提案ができるのではないでしょうか。

参考資料:https://rebuilders.jp/whats-data-1/

データ活用で、空間を通した利用者の幸福追求とさらなる集客創造を狙う空間プロデューサー、乃村工藝社。今後も業界を牽引していく同社の動向に注目したいものです。

執筆者/
リビルダーズ編集部 甲山 奏子

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