情報発信元:https://japan.zdnet.com/article/35194276/
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6日、安川電機が学習管理システム「CAREERSHIP」を導入したことが発表されました。
こちらのシステムは、営業担当者や、全国の拡販パートナーに対する教育のための学習プラットフォームとして活用されます。従来は、集合研修のみの教育方法をとってきたという安川電機。それでは利便性や知識の定着化に課題が残っていたそうです。
そこで、eラーニングや研修管理、スキル管理など必要に応じてサービスを組み合わせることができる「CAREERSHIP」を導入し、現在はeラーニングと実技研修を組み合わせた学習方法をとっているようです。
また、同製品の教材作成機能「eStudio」を活用して自社製品についてのオリジナル教材も作成したとのこと。このような、教育に必要な機能を一元管理できる点や、作成できる教材の自由度が高い点以外にも、安川電機は、管理者や受講者が受講履歴を確認、進行状況を把握できることも導入のポイントとしています。
安川電機は、今回のシステム導入で、営業担当の製品知識や提案力の向上、そして顧客の事業拡大に繋がることを期待しています。今後の展望としては、社員の学びの自主性を浸透させるためにeラーニング教材を網羅的にそろえ、さらに全事業部でのシステム統一によって受講管理を一元化していくと伝えています。
【執筆者コメント】
「データを世界の共通言語に」
これは、安川電機社長が就任時から持っているDXへの思いだそうです。この言葉をベースに、安川では約70社あるグループ会社間でのデータの標準化、一元化を進めてきました。
記事最後に、全事業部でのシステム統一、一元化という言葉がありますが、ここにも、安川電機のDX推進への共通した目標が見えます。安川電機は、DXの具体的な目標を2段階設定しており、1つ目には「1週間で決算データをまとめられるようにする」を設定。そして2段階目には「転勤しても着任したその日から仕事ができるようにする」をおいています。
今回の記事内容も、この2段階目に当てはまりそうです。学習プラットフォーム導入で、どこに転勤してもネットにアクセスして受講できますし、各事業部でシステム統一をするとのことなので、前の部のときと教えられたことが違う。。など、働き方における小さなストレスも軽減できそうですね。
また、興味深いのが、安川電機のトップである小笠原社長がICT戦略推進室長として自ら旗振りをしていること。社長は元エンジニア出身のようです。しかし、理由はそれだけではなく、DXを推進すればこれまでの組織のあり方や仕事の進め方を大きく変えることになるため、社内の各部署からの抵抗は大きかったそう。
そこで、「人事権を握る社長がDXの旗振り役になれば、社内の抵抗を一掃できる」と考えたとのことです。実際、経理担当者を代えるなど少々荒い手も使いながら、それでも会社のために強い意志を持って自らが先頭に立っています。他の記事でも「DXはDIYで」という言葉を見つけましたが、ベンダーやコンサルに頼りきりにならないという社長自身の気持ちがこもった言葉だなと感じました。
安川電機のように、社長自らがDXの旗振り役をする企業はそこまで多くないのではないかと思います。人事権を握っているからこそ社内の抵抗を一掃できるという意見には少し驚きましたが、そこまでの気概を持つ社長がいる安川電機なら、DXを成功させられるのかもという期待もできます。逆にいえば、改革には抵抗がつきもの。そこをいかに突破し全社協力してDXを成功に導けるのかは、どの企業においても今後の大きなカギになりそうです。
【参考】日経ビジネスによる安川電機・小笠原浩社長のインタビュー記事はこちらです。代表の熱い語り口調は必読モノです。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00119/00115/
【参考】DXを成功するためには社長のコミットが必須だという、当編集部の記事です。
執筆者/
リビルダーズ編集部 甲山 奏子