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コロナ急増で医療現場と保健所から悲鳴、日本がIT後進国である実情が浮き彫りに

情報発信元:

ANNnews
https://www.youtube.com/watch?v=H_WwLi-4jlA
https://www.youtube.com/watch?v=B1QEekjDA3g

岩手めんこいテレビ
https://www.youtube.com/watch?v=JO4MigVpALw

CBCニュース
https://www.youtube.com/watch?v=HnO26n-Jl5w

7月28日、東京都の新型コロナウイルス感染者は4万人を突破。全国で約23万人が感染するという過去最大の感染者数となった。その拡大スピードは半年前の第6波よりも早く、かつ感染する年代の層が広いのが特徴だ。

連日各メディアでは第7波の状況を大きく取り上げて報道させているが、その中でも他人事ではないのが医療現場の逼迫だ。

連日、街の医療機関にはコロナ感染の可能性がある患者が殺到。街中ではコロナ感染の可能性がある患者が行列を作っているという光景も見られるようになってきた。今やコロナの検査キットが足りなくなりそうな勢いだという。

そして今一番問題視されている医療現場の逼迫についてだが、現場ではコロナ発生届け(※)を何時間もかけて、1枚1枚手書きで記入する医師の姿が報道されている。

(※)コロナ発生届けとは・・・
国がコロナの感染状況を把握するために、医療機関に義務づけられている届けのことをいう。

本来このコロナ発生届けは、パソコン等のデジタル端末を使って、国が管理する新型コロナ感染者情報の共有システム「HER-SYS(ハーシス)」にログインして入力することが可能だった。

しかし、入力項目の多いためパソコンでの入力作業自体に時間がかかってしまうという理由で、紙で記入し保健所にFAXするという方法に切り替えたという医師。システムを使うユーザー側の負担が増え、なんとも皮肉な結果になっているようだ。

この状況に追い討ちをかけるように、7月26日に同システムに不具合が発生。現場の医師らはHER-SYSにログインすることすらできず、泣く泣く手書きに切り替えたという医師もいるようだ。

こうして現場の医師は診察時間が終わった夜遅くに、数時間をかけてその日診察した何十名もの届け出を1枚1枚手書きで記入し、保健所にFAXをする状況が出来上がった。

驚くべきは保健所にFAXされた後の処理だ。なんと保健所の職員が「医師の代わりにHER-SYSに入力」するというなんとも悲しい自体に陥っている。

国、保健所、医療現場の3者の足並みが今回のコロナ急増で崩れ、それを牽引するはずの国のDX施策はここから正念場を迎えそうだ。

[執筆者コメント]
医療現場と保健所では、このデジタル化社会に逆行したアナログ作業が行われている。この報道を見た時はなんとも残念な気持ちでいっぱいだった。システム不具合は第6波の時にも起こっていたが、今回の第7波でも同じ事態となっており、大丈夫なのかと本当に心配になる。

リビルダーズでは国、自治体のDX施策を何度も取り上げてきたが、今回の件で日本はまだまだIT後進国だということを見せつけられた。
【 参考記事 】 日本はIT後進国、というよりまだまだ絶賛鎖国中

そもそもコロナの発生届をユーザーである医師に負担と強いている状況で、ユーザー視点の足りなさもあったと思う。政府は入力項目を減らすよう検討する発表しているが、裏を返すと発生届で入力させていた情報は本当に必要なのか?と疑いたくなり、どうにも国の対応がズレている気がしてならない。

視点を変えてみると、医療現場で管理されている電子カルテのデータを保健所と国のサーバーで繋ぎ、データを自動で共有できる仕組みを導入するなどのDX施策が必要になってくるのではないだろうか。

こうすれば「発生届を入力する」という冗長な作業も無くなる。国も「とりあえずデータを保持しておくことこそ重要」という意識を変えるキッカケになるのではないか。
【 参考記事 】「デジタル化」と「DX」の違いについて、とことん、くわしく、わかりやすく解説。

今回の報道では、各自治体の保健所の様子が報道されており、多くの場合はかなり業務負担が増えていた。その中で江戸川区は落ち着いている様子だったのが印象的だった。

江戸川区では緊急性の低いコロナ感染者への対応をショートメール対応に切り替えるのはもちろんだが、第6波の逼迫した経験から学びを得て、現場での徹底したデジタル化による業務効率アップに取り組んできた結果が出ているように思えた。

今回の第7波の経験を次に活かせるか、国と自治体のDX推進に引き続き注目していきたい。

執筆者/
リビルダーズ編集部

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