情報発信元:https://www.pref.saitama.lg.jp/f1903/news/page/news2023031401.html
(※外部サイト「埼玉県 県政ニュース」を別ウィンドウで開きます)
14日、埼玉県は、令和5年度の埼玉県職員採用試験実施計画のなかで、「DX人材」を募集職種に追加すると発表しました。
DX推進により、デジタルサービスの普及とそれらのかけ合わせで様々な社会課題を解決していくことが期待されているなか、埼玉県では行政の業務や県民サービスのDXをはかり、全庁的なDX推進を行う人材が必要とされています。
そこで、上級試験および経験者試験を通して、情報系の専門的な知見をもつDX人材の獲得を目指します。
■募集のポイント
・教養試験がなく、民間志望者も受験しやすい
・上級試験では、一般行政など他の職種との併願が可能
・上級試験では、1次試験から約1か月後に最終合否を発表
【執筆者コメント】
今回は、埼玉県のDX人材枠の新設について、取り上げました。DX枠で合格すると入庁後は行政・デジタル改革課や、情報システム戦略課などに配属されることが想定されています。
今回のDX枠新設については、良い点と、懸念点の両方が存在すると筆者は考えます。
良い点としては、民間のDX推進のナレッジを持つ人材を獲得できる可能性があることです。民間企業は、その規模、売上の大小に関わらず、多くの企業がIT投資を行いDX推進を積極的に行っています。他社との競争のなかで新しい技術を取り入れながらPDCAを回し、事業の変革を重ねています。その中で経験を積んでいる人材であれば、培ったナレッジの共有・新しいアイデアの提供を行いながら、DX推進に大きな影響を与えてくれることが期待できます。
一方で、筆者が考える懸念点としては、DX人材の定義の曖昧さです。今回の発表では、専門試験でDXに関する知識が問われるという情報のみで、どのような経験、知見があれば応募できるのか、想定される業務内容などは不明瞭なままです。専門試験の内容は、4月下旬〜5月下旬に発表されるとのことですが、県が求める人物像が現時点では想像しづらいように思います。
では懸念点をつぶすために何ができるでしょうか?たとえば、外部のスキル基準を持ち込むことも一つの解決策になりそうです。
昨年12月に、経済産業省がIPAとともに策定したデジタルスキル標準が発表されています。DX推進に必要なリテラシーやスキルの指標が分かるものとなるため、こちらをもとにして、ある程度県が求める人材を分かりやすく示すことができるのではないでしょうか。
※以下記事のコメントでは、指標を示す側に求められる改善策が記載されていますので、ぜひご覧ください。https://rebuilders.jp/dx-news-20230217/
まだまだ改善の余地はありますが、先だって発表されている「埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画」の実行と、「DXビジョン」の実現に大きく影響を与える施策になると予想できます。さらなる情報のアップデートに期待したいところです。
執筆者/
リビルダーズ編集部 甲山 奏子