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日本アイ・ビー・エムがメタバースの普及に向けた提言レポートを発表

情報発信元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000333.000046783.html
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日本アイ・ビー・エム株式会社は、国内のメタバース市場の拡大をうけ、市場概況やメタバースが各市場にて果たす役割を分析したレポート(※1)を公開した。

(※1)https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/metaverse-japan-report

本レポートの概要

  • 「コミュニケーション」と「コミュニティー」の観点でのメタバースの価値

個人のコミュニケーションに関する悩み事のうち「情報が表現できない」もどかしさは、対面やテキストなどのような、あらゆるコミュニケーション手段において上位3位以内に入る唯一の課題となっている。また、人間関係の煩わしさに悩む傾向が強く、この問題解決へのニーズは拡大していく。

  • メタバース体験者の感想とB2B2Cエコシステム拡大の可能性

B2B2Cにおけるメタバースは相対的に満足度が低い傾向にあるが、一方で企画コンテンツや機器の改善によっては、B2Cメタバースに匹敵する満足度を生み出すことが可能だ。

  • 未来への期待とB2Bメタバースの革新

19項目のメタバース・サービスの魅力度を調査した結果によると、上位5つのうち4つはAR・MR機能を活用したサービスであった。これらのようなメタバースへ対応する機器へ期待が強まっている傾向に合わせ、B2B領域ではAR・MR活用が加速する可能性が高い。

メタバース・サービス提供者に向けた提言

  • メタバースに限定されない包括的技術力とエコシステム形成が必須

B2B・B2B2C領域のメタバースは、企業の業務効率化・DXの一環として実施されることが前提となっている。よって、サービス提供者はITとビジネスの「総合力」獲得のために、幅広いエコシステムの形成が不可避となる。

  • 「メタバースありき」ではなく 「企業の課題解決ありき」の実績が肝心

サービスを提供する側の思考が「メタバースありき」では顧客が求めている本質的な課題解決にはつながらない。各産業およびその用途で取り扱われている課題解決の実績を豊富に持ち、かつ課題解決を行うための1つの選択肢としてメタバースに精通するパートナーを選定することが大切だ。

  • 「アジャイル型経営」を基軸とした、 顧客のデジタル組織強化とマインドセット変革が急務

上記の観点に加えて、メタバース・サービス提供者は企業のデジタル面での組織強化や経営層の意識改革を推進し、アジャイル型経営を定着させることにより、目まぐるしく変わる事業環境の中でも迅速な事業創出を促進することが必要不可欠だ。

【執筆者コメント】
今回はメタバースに関するレポートとその提言に関する話題をご紹介いたしました。三菱総合研究所が2022年に発表した調査(※2)によると、メタバースの国内市場は2030年に約24兆円規模まで成長する、と予測されています。

世界的にも最も注目されている領域の一つである一方で、課題として法律やルール整備が追い付いていない現状があります。

例えば、現行の法令では仮想空間内にて発生しうる商取引には対応していないため、メタバース内で所有権をどう取り扱うか、といった観点で改善が必要となっています。自動運転なども同様ですが、世界と同等のスピードで市場に合わせた法整備を進めていけるかどうかが、日本がこの領域をリードしていけるかどうかのカギとなりそうです。

各企業がメタバースを用いて自社事業を推進するうえで、既存の人材リソースのみではナレッジが足りないなどの理由から、最大限メリットを引き出すのは難しいでしょう。

そのため、今回ご紹介したIBM社などのようにナレッジを持った企業の支援や協業を実施することにより、どうやってメタバースを導入していくか、そもそも事業領域との相性はどうなのか、など自社では補えない部分を推進してもらう必要がありそうです。

今後、どのようにして企業へメタバースが浸透していくのか、期待です。

(※2)三菱総合研究所|2030年代、メタバースの産業利用が社会課題を解決

執筆者/
リビルダーズ編集部 城間 礼音 

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