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川崎重工、富士通、SAPジャパン、Skillnote、協業で製造業DXを支援

情報発信元:https://japan.zdnet.com/article/35196505/
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川崎重工、富士通、SAPジャパン、Skillnoteは、22日航空機、鉄道、船舶、大型機械など人の手による作業への依存性が高い製造業におけるDXを支援する目的で、新たなプラットフォームを提供するための協業検討を開始したと発表しました。

本プラットフォームサービスでは、川崎重工の航空宇宙システムカンパニーが富士通、SAPジャパンと共同で行った「Smart-Kプロジェクト」のノウハウが活用されます。「Smart-Kプロジェクト」は航空機の製造プロセスを標準化し、SAPが提供するSAP S/4HANAの導入によってデジタル化を実現したものです。ここで培われた高品質かつ効率的な業務プロセスを汎用化し、サブスクリプションサービスとして幅広い分野の製造業のサプライチェーンに提供します。

また、ユーザー主体でシステム導入ができるように、富士通のシステム導入に関するノウハウやコンテンツもサービス化して提供されます。

さらに、本サービスでは、ユーザーがシステムに対する改善要望と開発優先順位を共有して標準に沿ったシステムを育てることを目指し、ユーザー参加型のプラットフォームサービスとなります。

今回参加しているSkillnoteは、技術伝承などの人材教育を支援するSaaS型サービスを提供しています。このSkillnoteのサービスを活用し、プラットフォーム上でも製造現場のスキル管理と製造実行を確実に連携させるとのことです。

4社は今後、プラットフォームサービスの構築、ユーザー企業や各種団体へのヒアリングを進め、周辺の支援サービスのメニュー化を実施します。さらに、2023年度上期にかけて航空機エンジンの部品製造などを手掛けるAeroedgeをはじめ数社でのテストを実施し、2023年7月のサービス開始を目指すとしています。

【執筆者コメント】
本記事は、川崎重工が大手IT企業、そして製造業に強いベンチャー企業とタッグを組み、製造業DX支援に向けて動きだすという内容でした。

今回スポットがあたった製造業は、急激な環境変化への対応や少子高齢化などによる労働人口の減少により、サプライチェーン全体の事業継続の仕組みづくりや、技術・技能の標準化・形式知化の必要性が高まっているようです。しかし、依然としてデジタル化されていない、人の作業に依存しているようなところも多くあり、人材不足もあいまって、DX化がなかなか進まないという課題もあるとのこと。そこで、今回のプラットフォームサービスのプロジェクトがスタートしました。

製造業は作り手にかなり依存するイメージがありますし、ロボットなどでの自動化もあるものの、全てデジタル化は出来ていない印象です。長年の技術が人不足で失われる前に、今回のプロジェクトのような、プロセスの統一化ができるシステム導入を行うことはこれから必要不可欠になりそうですね。

川崎重工は、記事内にでてきた“航空宇宙システム事業”のほかに、車両事業、エネルギーソリューション&マリン事業など、大きく5つの事業を展開しており、それぞれの事業で日本のトップ企業のうちの一つに入るくらいの売上をあげています。特に最近だと水素エネルギーの分野でかなり注目されています。

そんな同社は、2020年にグループビジョン2030を制定しており、そのなかで、成長シナリオを支える主な仕組みとして、DXをあげています。2021年には「グループビジョン2030に向けて、Kawasakiが目指すDX」というDX戦略プレゼンテーションも発表しました。

以下参考資料として掲載しますが、内容を見ると、他の企業に比べて、かなり詳しく戦略を立てている印象を持ちました。お客様にとってのDX、事業にとってのDX、従業員にとってのDXと大きく3つを掲げ、さらにそれらの成功のため、独自のデジタル基盤を構築。これを見るに、かなりの数の施策を行っているようです。
参考資料:https://www.khi.co.jp/corporate/dx/pdf/KHI_DXstrategy.pdf

企業がDX戦略や、ビジョンを掲げる企業は近年非常に増えています。コーポレートサイトにはDX専用のページがあったり、DXに関する資料を作っていたりと、会社全体を通してDXに取り組んでいるのだなとすぐに分かります。一方で、大企業の中でも、これらの情報が検索してもほとんど出てこないという企業もまだまだあるように思います。

これらの企業の差を見ると、個人的には、社外にDX推進に関する発表を多くしている企業ほど、スピード感があり、社内の従業員の意識にも大きな影響を与えているのではないかと思っています。周りに宣言すると、やらざるを得ないという人間心理でもあるかもしれませんが、なかなか進まないDXの現状を見ると、これも大事な要素のように思えます。

日本の製造業のトップメーカーである川崎重工が支援する製造業DX。3社の協力を得て、どのような成果を上げるのか、期待したいと思います。

執筆者/
リビルダーズ編集部 甲山 奏子

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