DX時事ニュース

花王とMILIZEが健康に着目したツール開発に向けて協業

情報発信元:https://www.kao.com/jp/corporate/news/business-finance/2022/20221019-001/
(別サイト「花王株式会社 ニュースリリース」を別ウィンドゥを開きます。)

10月19日、花王株式会社は株式会社MILIZEとの協業を発表しました。MILIZEが開発予定の「AI健康可視化ツール」と、花王が開発した統計モデル「仮想人体生成モデル」を組み合わせて新たなツールの開発を行います。

「仮想人体生成モデル」は花王が株式会社Preferred Networksと共同で開発した統計モデルです。健康診断結果やライフスタイルをはじめ、ストレスの状態や性格など様々な項目を備えており、ある項目のデータを入力すれば別の項目のデータが推定されます。1600以上の項目があり、多種多様なパターンで項目の推定ができるものです。

MILIZEが開発する「AI健康可視化ツール」は、将来の医療費を推計できるものです。ユーザーの健康診断のデータや、体重や睡眠時間、歩数や運動量等の入力ができ、それらをお金に換算して表示します。

この健康可視化ツールを仮想人体生成モデルと組み合わせることで、まず日々の健康状態やライフスタイルなどの項目から病気に関わる項目を推定します。これにより、健康改善のための行動をアドバイスするほか、将来に必要となる医療費の推定を行うことができます。

これらは企業にも導入可能で、社員の健康診断の情報と、その他のデータを入力することで、社員の健康状態を推定します。これにより健康な生活を促し、医療費の削減にもつなげることができます。

AI健康可視化ツールは2023年に提供できるように開発を進めているとのことです。

【執筆者コメント】
今回は、花王株式会社と、AIやビッグデータの領域に強みを持つ株式会社MILIZEとの取り組みを取り上げました。

現在日本では、健康経営の関心が非常に高まっています。2022年6月に経済産業省は健康経営の推進の概要を発表しました。総人口が急激に減少する可能性を踏まえ、健康への投資促進、健康寿命を延ばすことを重要視しています。そのために、企業に対しては健康経営を促す取り組みをしており、顕彰制度も設けています。2014年度からは上場企業対象の「健康経営銘柄」を選定しており、中小企業向けにも「健康経営優良法人」を認定しています。

花王株式会社は、健康経営銘柄2021に選定されており、中長期的なビジョンを以て社員の健康増進のための取り組みを実施しています。その実績は、花王サステナビリティデータブックというレポートの形で開示されており、花王は健康と事業の関連性を深く考察し活動している企業といえるでしょう。

花王は健康経営の取り組みに成功している企業であり、今回の取り組みは自社を飛び越えて他社へも健康経営の促進をするものです。元々各企業で実施していた健康診断等の定型的な取り組みを活かし、精度の高い将来予測をすることで、早期の行動改善につなげる取り組みは、社会的な意義があるものといえるでしょう。

また、国や各省庁が打ち出す施策はメディアの注目度も高いため、その施策を後押しするような本取り組みは企業PRにもつながります。また花王のように、銘柄を獲得することは採用力の向上につながるなど、売り上げ以外にもメリットがあります。新しい事業や取り組み、協業を考える際は、各省庁が推し進めている施策を後押しする、という観点も重要だと言えるでしょう。

執筆者/
リビルダーズ編集部 橋爪 勝万

-DX時事ニュース