DXナレッジ

DXとは? [ WEB上の記事を読んでもイマイチ分からなかった方向け ]

 
[ 読んでも読んでも腑に落ちない方へ ] ばっちりかみ砕いてご説明します!

WEB上の記事は、すでに上位表示されていた記事の内容を焼き増しして作られることが多いため、同じ内容が上位にズラっと並んでしまう傾向があります。

つまり、上位表示の記事を読んでもイマイチ腑に落ちなかったとしたら、もうWEB上にあなたを納得させる記事はほぼないということです。

ここでは、50冊以上本を読み、エンジニアやデジタル庁の方などからお話を聞いた筆者が、上位表示記事を焼き増しせず、できるだけ横文字を使わず、かみ砕いて「DXとはなんぞや」をお話していきます。

【 読了時間5分程度を想定 】
 

DXとは「デジタル企業と同じ土俵で戦えるようになること」

 
「DXとは組織変革だ!」「DXとはデジタル化ではない!」と、色々言われています。

が、シンプルに一言で言うならば

「デジタル企業と同じ土俵で戦えるようになること」

と理解いただくことが一番わかりやすく、正確です。
 

デジタル企業とは、WEBサービスでビジネスする企業

 
デジタル企業とは、WEBコンテンツ (アプリ、サイト、EC、動画などなど) をメインビジネスとする企業です。

LINE・FaceBook・Amazon・楽天・ゲームアプリなどなど、現在目立っている企業はデジタル企業が多いです。

デジタル企業がなぜ強いのか。

諸説ありますが、一番の理由は「人がWEBに流れたから」です。

電車に乗るとよく分かると思いますが、ほぼ100%と言ってもいいぐらい、皆さんスマホをいじっています。人々は一日の時間の大半を「WEBコンテンツを見る」ことに費やすようになっています。
 

引用:総務省調査 令和2年、はじめてネットの視聴時間がテレビの視聴時間を超えました。
引用:総務省調査 年代別で見ると、ネットよりもテレビの視聴時間が多いのは50代以降。年々ネットの視聴時間は増えていき、テレビの視聴時間は減っていく傾向が見えます。

 
以前は「TV」「新聞」「雑誌」が人々の時間を独占していました。ですが今はWEB。

そのため、WEBコンテンツを作れる企業が人の関心を集め、売上を作るようになってきたのです。

「時間とコストをかけ商品開発・CMを打つ」という旧来のビジネスのやり方が、年々通用しなくなってきたとも言えます。
 

これから産まれてくる企業の大半はデジタル企業

「なぜDXしなければいけないのか?」という問いに対してよく言われているのが、「デジタルディスラプターに対抗するために」という答えです。

デジタルディスラプターとは、デジタルビジネスによって既存の業界のビジネスモデルを破壊する企業のことを指しますが、よく例として挙げられるのがAmazon・Netflixなどです。

ですが、Amazonなど異次元規模の企業を引き合いに出されて、対抗しろと言われてもピンと来ない方は多いのではないでしょうか。

それよりも。海外だけでなく日本でも、これから産まれてくる企業のほとんどがデジタル企業、もしくはデジタルを使いこなす企業であるということ。人々の多くの時間をWEBコンテンツが支配している中、WEBコンテンツを作れる企業が圧倒的に強いということ。デジタルを使いこなせない企業は負けてしまう確率がきわめて高いということ。脅威はそこにあります。
 

非デジタル企業が、デジタル企業に勝てない理由

人々の時間はWEBコンテンツに奪われているからということを大前提として、その他、デジタル企業に負けてしまう理由についてまとめます。
 

①WEBコンテンツをリリースするスピードが圧倒的に劣る

デジタル企業は、アプリやサイトや動画コンテンツなど、次々と開発しては発信していく力を持っています。

●デジタル企業はIT技術力を持つため、1ヶ月とか短期間で開発しどんどんリリース

非デジタル企業は外部に依頼し、コンペで見積もりを取り…という風に進めるため、早くて半年、数年かかってようやくリリース

非デジタル企業がリリースしたころには、デジタル企業はリリース後改善を何十回と繰り返し、メガヒットコンテンツを創り上げています。競争力に純然たる差が出ます。
 

②働きたい人が減っていく

デジタル企業は「不完全でもいいから早くリリースして、改善を重ねていく」というスタンスです。アイディアを大切に、とにかく試すという考え方です。

対する非デジタル企業は「完全なモノを作りこんでからリリース、改善はしない」というスタンス。数年かけ市場調査やMTGを重ねに重ねた挙句、アイディアが丸まっていきます。

ムダなMTGを嫌う人は若手に限らず増えている中、後者に就職・転職したい人はどんどん減っていくでしょう。すでにエンジニアは大手企業に就職した人が少なくなっているという話もあります。

デジタル企業はSlackなどでラフにコミュニケーションを重ねる中、非デジタル企業はいまだメールで「お疲れ様です」から入るまどろっこしいコミュニケーション。意欲ある人材が後者を選ぶことはまずなくなっていくでしょう。
 

③企業価値がどんどん下がっていく

DXは世界的な潮流です。対応できていない企業を「白い目」で見る傾向は年々強くなっていくでしょう。

DXの根底には「脱資本主義」という思想が流れています。デジタルの力で、必要な人に必要なだけ生産する仕組みをつくり、大量消費・大量破棄による環境破壊から脱却しようという考え方です。

そのため、DXを進めない企業=古い資本主義ビジネスをそのままやっている企業、とみなされる傾向があり、価値の低い企業とみなされてしまう傾向が年々強くなっています。
 

ここまでのまとめ

・DXとはデジタル企業と同じ土俵で戦えるようになること。
・これから産まれてくる企業はみなデジタル企業 or デジタルを使いこなす企業。
・デジタル企業には競争力、人材、市場価値で勝てない。

WEBコンテンツをハイスピードで作れる体制を整えつつ、非デジタル企業のビジネススタンスを捨てないといけない、というのがここまでのお話でした。

「DXは組織改革だ!」と言われているため「…なにを改革せよと言ってるの?リモートワークにするとか?」とぼんやりしてしまうことが多いDX。

DXとはシンプルに「デジタル企業がこれからどんどん増えてくるけど、非デジタル企業のままじゃ勝てなくなるよ。準備しなくていいの?」ということです。
 

取り組んだ方がいいDX。でもなぜ、失敗するの?

できればすべての企業がデジタル企業化した方がいい。

ですが、DXの成功率は16%と言われています。非常に低い。理由をまとめます。
 

①人を解雇できないから

デジタルを駆使すると効率化が進み、人手は不要になります。

ですが日本は雇用法上、企業が一方的に社員を解雇することがむずかしい側面があります。「デジタル化で効率が進み、人が不要になったから辞めてほしい」とは言えないのです。海外は一方的な解雇がOKだったりします。

そのため、デジタル化を進めると社員からの抵抗にあってしまう・協力を得られないことが、DXが進まない大きな原因になっています。
 

②デジタルツールを入れて終わってしまう

Slackのようなコミュニケーションサポートツールを導入して終わってしまう。また、AIやRPAなどを駆使し、業務を自動化して終わってしまう企業が大半です。

DXは、デジタル企業と同じ土俵で戦えるようになることとお話しました。デジタル企業のように、アプリやサイトなどWEBコンテンツを短期間で作りリリースできるようになることだと。

アプリやサイトを作るというのは「新しいビジネスを作る」のと同じ。ここに挑む企業があまりいないのです。非デジタル企業にとって、新しいビジネスを作ることは一大事。「不完全でもいいからリリースする」というスタンスに切り替えられないことが要因でしょう。

SlackやAIで業務を効率化するというのは「今のビジネスを改善」しているだけ。新しいビジネスを作っているわけではありません。これが「DXは、デジタル化ではない」と言われている事象です。
 

③人がいない

アプリやサイトなどを短期間で作れる人材が日本には欠如しています。

また、そうした人を自社雇用する会社もまだまだ少ない。通常は外部専門企業に所属しています。

日本には109万人の「IT人材」がいると言われていますが、その多くが「SE」と呼ばれる、自分ではプログラミングをガリガリ書いたりできない「調整役エンジニア」だったりします。自社で雇用しても「自ら作れる人ではない」という現状もあります。
 

どうすればDXは成功するの?

なかなか絶望的ですが、それでも成功させるために必要なことは下記です。
 

①社長が先頭に立って断固推進する

DX後、デジタル業務が出来ない人を抱え続けるわけにはいきません。雇用法上むずかしくても、断固リストラを遂行する必要が出てきます。

リストラしないなら、DX後の仕事を作っていく。その仕事を遂行できるよう教育していくということが必要になりますが、これも社長がやらないと進まないことです。

そして、断固推進するために必要なのが、社長のDX理解。「なんとなくやらないといけないみたいだから」「AI使えばDX銘柄になれるから」という打算的な理解でDXを推進しようとするからリストラとも向き合えなくなる。

挙句、DX推進担当者に「やっておいて」と丸投げしていれば、社員の抵抗に跳ね返されてしまうのは当然の流れです。
 

②システム開発とは違うことを理解する

DXとは、新しいビジネスを高速でリリースしていくこととお話しました。

ですが、外注先であるシステム開発会社は、新しいビジネスを作る専門家ではありません。これまで、業務の効率化を図れるシステムを作ることを生業としてきた会社です。

DXを進めるならば、最初の計画はシステム開発会社ではなく、コンサルや新規事業専門会社とはじめるべき。依頼する相手を間違えているというのも、DX失敗要因の一つです。
 

③覚悟してエンジニアを自社で雇う

昔は、作るべきものがなくなればエンジニアの仕事がなくなってしまうため、自社雇用を控えていたという側面があります。

ですが、新しいビジネスであるアプリやサイトなどはリリースしてからがスタート。永遠に改善し続けます。さらに、新しいビジネスを次々立ち上げるわけですから、エンジニアの仕事がなくなることはありません。

このあたりは、DX理解が浅いから起こってしまうミスリードといったところでしょう。
 

まとめ

DXとは何か、なるべく平易な言葉でわかりやすくまとめてみました。

●DXとはシンプルに「デジタル企業と同じ土俵で戦えるようになること」。デジタル企業のようにWEBコンテンツ(アプリ・サイトなど) を高速でリリースし続ける企業に変わること。
●DXが失敗する理由は「社員からの抵抗」「ツールを入れて終わってしまう理解のズレ」「DX後のビジネスを担える人がいない」など。
●DXを成功させるには「社長のコミット」「システム開発と同じと考えない」「覚悟してエンジニアを自社雇用する」など。

DXはあまりにも様々な情報が流通しているため、人によって理解がまちまち・経営者ですら理解できている人が少ないという状況を引き起こしています。

本記事ではとにかくムダな情報をそぎ落とし、芯の部分だけ抽出しまとめています。

さらにくわしく、DXの語源などから知りたいという方はぜひ、下記記事もご参照ください。

【 ネコちゃんでもわかる 】「DXがとっても注目されている背景」について、専門用語を一切使わず、超~~わかりやすく。
 

執筆者
リビルダーズ編集部

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