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スマホ映像を使って110番通報の時代へ、事件・事故の早期解決につながる新たな仕組み

情報発信元:https://www.youtube.com/watch?v=vi3nGb9EU3g
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大阪府警にて新しい110番通報の仕組みの試験運用がスタート。それは通報者からスマホの映像や写真をリアルタイムで送信してもらうというもの。2022年10月から大阪府警にて試験運用がスタートしている。通報者のスマホから撮影データを送信してもらうステップは以下の通りだ。

【新たな110番通報の流れ】
1、通報者→警察へ通報
2、警察→通報者へ「URLをショートメールで送信」
3、通報者がショートメールに記載されたURLにアクセス
4、警察→通報者 「アクセスコード」を電話で伝える
5、通報者→警察「アクセスコード」を入力して、映像や写真をデータ送付

データは警察が運用するサーバに格納され、受信した撮影データを事故・事件解決に役立てる。既に兵庫県警では2020年10月から先駆けて本仕組みを実運用しており、2022年8月までに550件の運用実績がある。実際に撮影データをもとにパトカーが事件の犯人を検挙するという事例が生まれており、その有用性が証明されている。

従来は事件・事故の当事者が撮影データを持って近くの警察署に持ち込む必要があり、事件・事故発生からのタイムラグがあり解決までに時間がかかっていた。しかし、今回の取り組みが全国で運用に乗れば、多くのケースにおいて早期解決につながることが期待されている。

今後は全国の警察で順次試験運用をスタートさせ、2023年4月から実運用していく方針だ。

【執筆者コメント】
日本は500万台の監視カメラが全国に設置されており、その台数は世界第5位を誇る監視カメラ大国であるが、じゃあいつでもどこでも監視できているのかというとそんなワケはない。都心部であれば頭上を見上げれば監視カメラが目に入るが、地方部や屋内ではそうはいかない。そこで期待されている仕組みとして、当事者たちからの撮影データを警察自らが進んで提供を促すという仕組みはとても合理的だ。

事実、これまではYoutubeやTwitterをはじめとするSNS上で事件・事故の発生時の映像がリアルタイムで共有・拡散されて来ており、警察側も市民からSNS上で映像がアップロードしているという通報を受けて検挙につながるという事例が数多くあった。そこで今度は警察自らが当事者から直で撮影データの提供を受けるべく、既存の業務フローを大きく変えていこうとしている点は大きく評価すべきだと感じる。

情報の即時性という意味ではTwitterが群を抜いているが、本仕組みの実用が始まれば警察はTwitterよりも先に事件映像をキャッチできるようになる。

ただ、筆者としては2点ほど気になる点がある。1つは情報元でも触れているとおり、スマホのカメラを向けることにより発生が危惧される2次災害だ。当事者が撮影に夢中になることで、相手をかえって刺激したり、撮影者本人が事故や怪我に見舞われるケースが懸念される。

もう1つは、アクセスコードの入力のステップが少々手間と感じた。リアルタイムで通話しているのだから、アクセス認証は無くしても問題ないと思う。代わりに一時的にアクセスできるURLの発行やアップロード回数の制限を設ける等の条件を組み合わせることで、通報者の負担をもっと軽くしても良いのではないかと感じた。


DXが校歌のように歌われている日本において、それに呼応するように110番通報のあり方も変わっていこうとしていることを感じさせるニュースであった。

執筆者/
リビルダーズ編集部 木城 秀人

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