結局、DX(デジタルトランスフォーメーション)ってどうやって進めればいいの?をできるだけ簡単な言葉でわかりやすくご説明いたします。本記事では、DXを進めるにあたり、気を付けなければいけないポイントについて解説します。
DXってどうやって進めるの?【前編】
DXって実際進めるためにまずどうすれば良いのか?
【前編】では、まずはDX推進担当者が気を付けるポイントについてお話しします。(【後編】では、進め方のアプローチと国内外の事例についてお話します。)
>後編はこちら
【ネコちゃんでもわかる】「DXの進め方」について、専門用語を一切使わず、超~~わかりやすく。【後編】
まず、そもそもなぜDXをするのか?そのDXは本質を捉えているのか?考える必要があります。
本質を捉えたDX計画に必要な「ミッション策定」
「ミッション」とは「自社がこの世に存在する意味」を言語化したもの。このミッションを先に策定してからDX推進をスタートしないと、DXが「デジタル化」になってしまいます。
たとえば、アウトドア用品メーカーのパタゴニア社は「地球を救うためにビジネスを営む」というミッションを掲げています。世の中の、利益優先で地球環境破壊を繰り返してきたビジネスサイクルを修復する企業だと宣言しています。ただアウトドア用品を売る会社ではない、ということですね。
なぜこのようなミッションを掲げないといけないのか。
ミッションとは「自社がこの世に存在する意味」、つまり今日明日に実現できるものではなく、中長期的に実現していく壮大な目標です。
ミッションがないということは、短期的な目線で日々の売上を稼ぐビジネスに寄ってしまうということであり、デジタル技術を、売上を効率的に稼ぐことに利用してしまうということです。
ミッションという壮大な目的を実現するためにデジタル技術の力をどう使うか、これがDXです。
■補足■
すこし小難しい話になりますが、DXというのは「資本主義におけるビジネス構造からの脱却」という側面もあります。
資本主義における組織形態である「株式会社」は、四半期ごとに株主に売上報告をし利益を還元する仕組みです。そのため、どうしても「株主至上主義」になってしまう。だから「株式会社」はいつまでも短期目線で売上を追い続けなければならなくなってしまい、結果、社員は疲弊し、大量生産・大量廃棄ロスもなくならないという悪循環に陥ってしまいます。
このようなループを断ち切るために、デジタル技術を応用することで「株式会社」の考え方や文化を変えていこう、というのがDXの目的・背景だったりします。
だから、DXをやり遂げるためにはデジタル技術よりもまずミッションが重要なんです。ミッションを策定したうえで、ミッション実現のためにデジタル技術で出来ることってなんだろうと考えていくのがDX本来のセオリーです。
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>ミッションの重要性についてわかる記事
DXの一丁目一番地。「ミッション」がなぜ重要なのか、調べてみた。
日本はDX後進国以前に、ミッション後進国だ。( 続・ミッションの重要性について調べてみた。)
「ミッション策定」しないなら「デジタル化」までにしておく
ミッションを策定しないということは「中長期的に目指すモノを決めない」ということ。自然と「いま取り組んでいるビジネスの効率化」しかやることがなくなります。
つまり、ミッションを策定しないなら「デジタル化」だけ取り組んでおくというのも、また一つの正解です。
ミッションを策定せず、デジタル化しかやることがないのに、DXに取り組もうなどと考えると「DX銘柄企業」に選ばれたいがために「AIを導入してなにかできないか」「ブロックチェーンを導入して何かできないか」とはじまってしまいます。
なにが問題か、もうお分かりだと思います。デジタルという手段を目的化してしまい、最新デジタル技術を導入することで膨大なコストをかけた割にリターンが少ないという状態が積み重なり、業務もどんどん複雑になり、最終的には大量リストラ or 倒産という結末が待ち受けています。
また「社員がしらけ」ます。たとえば、SLACK、Zoom、リモートワーク化といったデジタル化に取り組んでいるだけなのに、経営者がメディアで「弊社はDX推進を積極的に進めており」と堂々と話す事象をよく見かけますが、見る人が見れば「いやあの会社がやってることってDXじゃないよね」となります。そのことをクチコミなどで知ったときの社員や求職者の失望は想像できるでしょう。
ミッションなきDXは、ニセモノへの転落を招くことを覚えておいてください。
■くわしくはこちら
>DXしなければならない、という呪縛から解き放たれる記事
DX、いったんSTOP。 【 本質からズレないDXとは 】
経営者がコミットしないとそもそも無理
デジタル化を進めるということは「人が不要になるということ」です。そのため、リストラか、ほかの仕事を作ってそちらに異動してもらうかの検討がセットで必要になってきます。
また、デジタルツールを使うことを前提にした仕事に変える必要が出てきます。たとえばこれまで電話営業していた人に、サイトを作って刺さる文言を書きSNSなどを使って営業する仕事へとシフトチェンジを要求する必要が出てきたり。抵抗する人が少なからず発生することは想像できると思います。
こうした変化に抵抗する「現状維持派」がデジタル化・DX推進の最大の壁になります。この壁、DX推進担当者だけでうまく調整できるものではありません。
経営者のコミット・トップダウンなくして、デジタル化・DX推進は成しえません。
経営者が「DXとかよくわからないから」と、外部からプロを引っ張ってきて全任せする流れになったら要注意です。そのプロが現場を調整できず、経営者が「俺の責任じゃない」と知らんぷりする事象はあるあるです。
経営者が「コミットする」と言わない限り、進めないようにしましょう。
■くわしくはこちら
>経営者のコミットが重要であることがさらにわかる記事
やはり、DXで一番変革しなければいけないのは社長で確定。
「DXがとっても注目されている背景」まとめ
DXを進める上での注意ポイントについてまとめてみました。
「みんなやっているから」と軽い気持ちで進めると痛い目に合うことがお分かりいただけたでしょうか。
特に強調したいのは「ミッション策定」です。日本の大手は、海外企業のビジネスモデルを真似て成長してきた企業が多く、特にミッションなど持っていない企業が比較的多いです。理念に「雇用の最大化」を掲げる企業も多いですが、それはミッションではなく、より多くの社員を掲げ利益を最大化するという目的を違う言い方にしているだけです。
本気でDXを推進するなら、まず、今一度過去を振り返り、ミッションを策定すること。
個人的には「DXレポートでミッション策定の重要性が語られていなから、日本のDXは推進しないのではないか」と推察しています。
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執筆者
リビルダーズ編集部