DXナレッジ

【 ネコちゃんでもわかる 】「DXがとっても注目されている背景」について、専門用語を一切使わず、超~~わかりやすく。

 
なんでこんなにDX(デジタルトランスフォーメーション)って注目されているの?をできるだけ簡単な言葉でわかりやすくご説明いたします。日本のDXはどのくらい遅れているのか?日本がつまずいているポイントは?などについても解説しています。
 

DXがとっても注目されている背景

 
メディアは日々恐怖心を煽るように「DXはすべきだ」と報じます。そもそもなぜDXはここまで叫ばれるようになったのでしょうか?
 

日本政府が「ヤバい」とあせりはじめた

日本でDXの必要性が叫ばれるようになったのは2018年9月。
経済産業省が公表した「DXレポート」がきっかけです。

DXレポートをカンタンにまとめると
「このままデジタル化をサボってると生き残っていけなくなるよ」
という内容です。

2018年まで日本はDXはおろか、デジタル化を進めている企業も少ない状態でした。
一方、海外企業はデジタル化なんて当たり前。DXを果たした企業・たとえばAppleやAmazon、Facebookなどがどんどん生まれ、世界の時価総額ランキング上位を埋め尽くしていました。平成元年 (1989年) はランキングTOP20の7割が日本企業だったのに、現在では30位以下にやっとトヨタ社が出てくるという状況になり下がっています。

日本企業も早くデジタル化を進め、DX企業を増やしていかなければいけない!という状況の中、デジタル化を阻む元凶になっているのが「基幹システム」です。生産管理・人事管理など、日本企業のビジネスの根幹を担う基幹システムの老朽化が進み、あたらしいデジタルツールを導入しても連携できない状態になっています。

さらに、基幹システムは古い技術で作られており、改良しようにもその技術を使うことができるエンジニアが定年を迎えはじめています。2025年以降基幹システムを改良できるエンジニアは市場からいなくなってしまうという状況も差し迫っている事象を「2025年の崖」と呼び、問題となっています。

■くわしくはこちら
>DXレポートの要点をすばやくつかめる記事
「DXとはなにか」を正しく理解できる、DXレポート2を解説。
「DXレポート2.1」10分で要点をつかむ!解説とオマケ考察
DXレポート眠くなる方に朗報『対話に向けた検討ポイント集』

 

ぶっちゃけDXって日本進んでるの?

 
日本はDX後進国とよく言われますが、実際どうなのでしょうか?

結論、相当出遅れています。

IPA「DX白書2021」の日米企業・DX動向比較調査によると、

>十分進んでいると答えた企業の割合
日本 5.8% / アメリカ 40.4%

>まあまあ進んでいると答えた企業の割合
日本 34.1% / アメリカ 45.8%

>十分 + まあまあ進んでいると答えた企業の割合
日本 39.9% / アメリカ 86.2%

日本とアメリカでは「十分+まあまあ」と答えた企業の割合は約2倍以上。「十分」と答えた企業の割合は約7倍の差がついています。
 

引用:IPA 『プレス発表 日米企業におけるDX動向を解説した「DX白書2021」を発刊』図2.経営者・IT部門・業務部門の協調

 
 
また「世界デジタル競争力ランキング2020」によると、日本は63ヵ国中27位2013年は20位でしたが、だんだん下がっています。
 

引用:総務省(2021)「ポストコロナの経済再生に向けたデジタル活用に関する調査研究

 
 
特にデジタル競争力要素の一つである「ビジネスの俊敏性」は63ヵ国中63位。なんと最下位です。
 

引用:総務省(2021)「ポストコロナの経済再生に向けたデジタル活用に関する調査研究

 
 
「ビジネスの俊敏性」とは「市場の変化に対応するスピード」のこと

たとえば海外では、サービスサイトやアプリケーションなどをWEB上のプロダクトを「数週間で60点くらいまで作りこんだらリリースしてしまい、市場の反応を見て改善していく」というスピードで市場の変化に対応しています。ある意味、市場のニーズに合ったモノ作りをする正しい方法と言えます。(これをアジャイル開発と呼びます)

一方日本は、「じっくり数年かけて100点まで作りこんだらリリース」というスピード。作っている間に市場のニーズが変わってしまい、100点どころか30点のモノが出来上がるというオチです。

こんなにもスピードが違うのは「100点で無ければ世に出せない」という強迫観念が日本企業に根付いてしまっているから。モノづくり大国として経済成長を続けてきた日本は、品質に厳しく、「数週間で60点くらいまで作りこんでリリース」というやり方になかなかシフトできません。

ですがWEBの場合、リリース後に修正・改善していくことは普通。日本企業の考え方は、まだまだWEBのセオリーに追いついていないと言えます。

いまや超巨大企業となったAmazon社の、スタート時のサービスサイトをご覧ください。
 

引用:ZDNetJpan「アマゾン開設20周年--写真で振り返る栄光と挫折の歴史

 
60点どころか10点の出来ですが笑、みなさんご存じの通り、20年後、Amazon社は時価総額ランキング世界5位の企業に成長しています。
 

日本企業がつまずく課題点

DXの成功率は約16%と言われています。

「DXに失敗した」というニュースもよく見かけますが、日本企業のDXが二の足を踏む原因はどこにあるのでしょうか?
 

人材不足?

日本にはIT技術者が約109万人いると言われています。実は、IT大国と呼ばれるアメリカ・中国・インドに次いで4番目に多い人数です。(参考 https://hrzine.jp/article/detail/2123 )

ですが問題は「DXに適応できるエンジニア」が少ないこと。

日本は「ビジネスの俊敏性」が世界最下位であるとお話しましたが、市場のニーズに合わせて俊敏にサービスサイトやアプリケーションを開発できるレベルのエンジニアは「数万人」しかいないと推察されます。

■くわしくはこちら
>ビジネスの俊敏性を維持できるエンジニアが日本には少ない理由について
外部ベンダーの選び間違えを0にする、たった1つのポイント
>上記エンジニアがどのくらい少ないのかについて
DX、まだコンサルとやってるんですか DX共創ベンダー6選

 

■人材教育?

2020年デジタル競争力ランキングによると、日本のデジタルスキルは63ヵ国中62位。特に日本企業の場合、経営者がデジタルを学ばない傾向があり、TOPの理解がなければDXが進まないのは当然だと言われています。

これは「デジタルに関することはシステム会社に任せておく」という企業の考え方が原因になっていますが、2018年DXレポートの提唱をきっかけに「自社の社員をデジタル人材に育てていく」企業が増えてきています。

そもそも日本は「企業に入ったら勉強しない (仕事をする)」という考え方が一般化しています。海外は「生涯勉強する (勉強して市場価値を上げていく)」という考え方が一般化しており、エンジニア以外の人もデジタルの勉強を普通にしています。日本は勤勉な国と言われていましたが、実情は真逆で「勉強しない国」になり下がっていたと言えます。

ですがこれは「まだ本気で勉強していなかっただけ」ということでもあります。本気で勉強を始める企業・人は増えており、実際ニトリ社は社内デジタル人材教育に力を入れ、数年で350人以上のデジタル人材輩出に成功しています。

つまり、この問題の解決はもう「勉強するしかない」に尽きます。

■くわしくはこちら
強みの内製開発を加速させ、社内IT人材1000人を目指す─ニトリ、新IT拠点「ニトリデジタルベース」を設立強みの内製開発を加速させ、社内IT人材1000人を目指す─ニトリ、新IT拠点「ニトリデジタルベース」を設立

 

担当者の説得力不足?

実は、隠れたネックになっているのが「DX担当者の説得力不足」です。

日本の経営者は自分自身がデジタルを理解していないまま、社員にDX推進を命じる傾向があります。

さらに、DX推進担当者が提案を持っていくと却下する。「自分は丸投げの癖に…」と推進担当者の熱量が冷め、頓挫してしまうパターンが多いようです。

ですがこの時、経営者は「もっと考え抜いた提案を持ってこいよ」と考えていることが多い。

この ”すれ違い” を解消するのが「課題設定力」です。本来であれば社員全員がこの課題設定力を持っていなければならない時代なのですが、持っていない人が多いという点に問題が潜んでいるようです。

■くわしくはこちら
>経営者の説得に成功する方法について書かれている記事
DXレポートに書かれていない、DX推進に必要な「●●設定力」

 

■海外の「ものまね」が問題? 

そもそも日本と海外を同じように考えること自体に無理がある、という話もあります。

日本には日本のDXの在り方が存在するはず。ですが現状は、海外のDXをそのまま真似る方向で進めてしまい、折り合いがつかなくなるという実情もあるようです。

■くわしくはこちらの記事
>海外のDXにおける傾向などについて書かれている記事
海外DXの”まねび方”。

 

■DXは本当に必要なのか?

実は「デジタルによる企業変革」は50年前からたびたび言われています。そのたびに多額の負債を抱え倒産する企業を生んできたという歴史もあります。

「自社のビジネス文脈上」必要ならやる、必要ないならむやみに手を出すべきではないと提言する声もある中、「話題のブロックチェーンを使って何かできないか」と無理やりデジタルを組み込もうとする経営者が後を絶ちません。まさに今、歴史は繰り返されているということです。

■くわしくはこちら
>DXの必要性について書かれている記事
DX、いったんSTOP。  【 本質からズレないDXとは 】

 

「DXがとっても注目されている背景」まとめ

「やらなければいけないDX」の背景についてお話してきました。

ただの物真似はNGだけれど、世界の潮流から取り残されてしまう可能性が高いことから、国を挙げてDX推進に力を入れているというのが実情です。

ただし重要なのは、デジタル技術を取り入れることよりも

●サービスやプロダクトを「100点まで作りこまないと世の中にリリースしない」という古い考え方を変えていくこと
●海外と同じく、日本のビジネスマンも「生涯勉強」を基本スタンスとすること

など本質的な部分の変化。これが「デジタル化はDX」ではないと言われる所以です。

DXレポートを執筆した経産省・和泉憲明さんも「DXが進まない本当の要因は、技術負債を是とする企業文化やマインドだと気づいた」と証言しています。つまり、デジタル技術の導入が遅れていることよりも、経営者や社員が現状のまま生きようとすること自体がDX推進を遅れさせている、ということです。
 

■こちらの記事も合わせてぜひ
>DXとはなんなのかについて書いた記事
【 ネコちゃんでもわかる 】「DXとはなにか」デジタル化との違いなど、専門用語を一切使わず、超~~わかりやすく。
>DXを進めるにあたって気を付けるポイントについて書いた記事
【ネコちゃんでもわかる】「DXの進め方」について、ポイントを、専門用語を一切使わず、超~~わかりやすく。【前編】
>DXの進め方、国内外の事例について書いた記事
【ネコちゃんでもわかる】「DXの進め方」について、専門用語を一切使わず、超~~わかりやすく。【後編】

 

 

執筆者
リビルダーズ編集部

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