情報発信元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000075130.html
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株式会社セラクは、過去の市場流通量や気象情報などのデータを元に、AIによる青果の出荷量予測システムを開発し、4品目(キャベツ・玉ねぎ・きゅうり・トマト)の主要産地の出荷量予測システムの提供を開始した。
サービス提供の背景
農業生産における出荷量は、温度や日射量といった気象条件の影響を強く受ける。近年頻発している気候変動や異常気象の影響により、従来通りの栽培を行ってもこれまでと同じ量を収穫することができなくなっており、農業生産の再現性が低下している。
その結果、契約栽培における出荷量の不足や需給不均衡による著しい価格変動などが発生し、生産者や青果流通事業者、実需者にとって経営リスクとなっている。こうした課題の解決と、安定的な青果流通の実現のために、青果の出荷量予測技術の開発が急がれていた。
サービスの概要
1、産地出荷量予測
流通量が多く、流通量や価格の変動幅が大きい4品目(キャベツ・玉ねぎ・きゅうり・トマト)の1ヶ月先までの出荷量を予測ができる。この予測機能は、農林水産省「国際競争力強化技術開発プロジェクト」の中で使用されている。
本予測サービスの活用により、営業担当者が出荷予測業務にかかっていた時間を最大18%短縮し、加えて担当者による価格の予測精度が向上したことで利益率が高まった。
2、圃場(※1)出荷量予測
産地出荷量予測にて得られる産地全体の収穫量傾向をもとにして、キャベツの圃場単位での出荷量・出荷時期を予測することができる。例えば、キャベツの定植された株数以上の数を収穫できない性質を利用して、出荷可能となる時期の株数と重量を掛け合わせて予測を行うことがてきる。また、ドローンを活用し植生指数を測定することでより正確な予測が可能となる。
(※1)圃場(ほじょう)とは・・・
農作物を栽培するための場所のこと。水田や畑(普通畑・樹園地・牧草地)などを包括する言葉。
引用元:Weblio国語辞典「圃場」より引用
【執筆者コメント】
今回はAIやドローンを活用した青果の出荷予測に関するDXの例をご紹介いたしました。
超高齢化社会を迎えようとする日本では、生産者の高齢化に伴う人手不足や後継者不足が深刻な問題となっています。
実際に、農林水産省の調査によると令和4年の基幹的農業従事者(ふだん仕事として主に自営農業に従事している者)が122.6万人となっており、そのうち65歳以上が約7割(86万人)を占めている状況となっています。
筆者の祖父母も現役で農家として生計を立てていますが、体力面などの理由から圃場の縮小・譲渡を余儀なくされています。農家全国平均年齢も68.4歳となっていることから、どうやら珍しい話ではなさそうです。
今回ご紹介した例のように、農業が直面する課題をテクノロジーで解決するべく、国と様々な企業による協業が行われています。
野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社にが発表した資料によると、アグリテック(農業でデジタル技術を活用すること)は2019年では725億円の市場規模でしたが、2025年には3,885億円の規模にまで拡大すると見込まれています。加えて、農林水産省によるスマート農業実証プロジェクトが2019年に開始するなど、国から支援も手厚くなっており、業界全体が変革の時期を迎えています。
日本の農業を守り、ひいては日本の食を守るためには、官民一体となって人手不足解消のために若い世代を巻き込むことはもちろん、人力に頼らない農業DXを急進できるかどうかがカギとなりそうです。
執筆者/
リビルダーズ編集部 城間 礼音