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SMBCコンシューマーファイナンス、ローン申込から契約までのプロセスを共通化するプラットフォーム提供を決定

情報発信元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000017221.html
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SMBCコンシューマーファイナンス株式会社と株式会社NTTデータは、2023年9月より国内初となる、ローン業務全般のデジタル化を支援するプラットフォームの提供開始を発表した。

顧客からの申込~審査~契約までを一貫してデジタル化することで、金融機関は成約率向上や電話・郵送・FAX等の旧来業務からの脱却が可能となる。また、保証会社は金融機関同様の効果に加え、インターフェースの標準化により保証営業が容易となるメリットが見込まれている。

本サービス提供の背景

低金利や市場競争の激化、人口減少など、金融業界のビジネス環境は厳しさを増しており、競争力の維持・向上させるために各金融機関は申込から契約までをオンラインで完結させる個人ローン商品の開発など、当業界においてもDXへの取り組みは加速している。

一方で、個人ローンの領域においては抜本的な改善が進まず、金融機関と保証会社間のやり取りはいまだFAXでの手続きが多く残っている状況だ。そのため、金融機関・保証会社のどちらにとっても、システムとFAX業務の重複運用が続くことによるコストの肥大化や、事務作業フローの複雑化が課題となっていた。

本サービスの概要

本サービスは、金融機関で個人ローンを利用する顧客、金融機関や保証会社に向けて、個人ローンに関する一連の手続きで必要となる各機能をSaaS型で提供するものだ。本サービスによる顧客の利便性向上および、ローン申込の成約率向上に寄与する。代表的なメリットは以下の通りだ。

  • Web上で申込から契約締結までを完結

個人ローンの申込から契約締結まで、全てWeb上で完結させる機能を提供する。また、eKYC(※1)による本人認証も標準搭載し、スマホ一台で申込が完結する仕組みも提供される。
(※1)eKYCとは、「electronic Know Your Customer」の略称。オンライン上で本人確認を完結するための技術

  • プラットフォームをハブとした保証会社とのデータ連携

個人ローンは伝送化が進み辛い状況だが、本サービスをハブとすることで現在FAXが主体となっている各金融機関と保証会社間のやりとりをデータ転送に置き換えることで、業務効率向上を実現する。

  • 自動リトライ機能

金融機関では1つの個人ローン商品に対して、複数の保証会社と提携しているケースがある。この保証会社Aの結果を確認した後、保証会社Bへ依頼を実施する自動リトライ業務を本サービスで代替することで、迅速な審査体制を構築する。また、これまで1つの保証会社しか提携のなかった商品については保証会社の追加が容易となる。

  • 顧客コンタクト支援

オンラインで開設する「マイページ」の利用により、顧客に対して入力不備や必要書類の再提出等の事務連絡が可能となる。旧来は電話・郵送・来店・FAXであったが、Webを活用することにより、業務効率化に繋がる。

【執筆者コメント】
今回は消費者金融業界のDXの例をご紹介いたしました。信用情報機関JICCのデータによると、2022年時点での消費者金融の利用者数は1,027万人で貸付残高は7兆3,200億円となっています。

2006年より施行された改正貸金業法によって、年収などを基準にその3分の1を超える貸付けが原則禁止される総融資額規制の追加や、消費者金融の事業者は顧客が過去に払いすぎた利息(過払い金)を返還する必要に迫られていたため、業界全体で経営環境が厳しい状態が続いていました。

また近年はPaypay銀行やLINEポケットマネーなど、少額借り入れであればオンラインで完結できるサービスが増えており、旧来の消費者金融会社は変革を迫られた形です。今回、景気回復に伴う個人の借り入れ需要回復により営業収益が改善していることもあり、今回の改革に踏み切ることができたようです。

今回ご紹介したSMBC コンシューマーファイナンスは売上で国内業界首位ではありますが、順位はしばしば入れ替わっており、まだまだこの業界は成長の余地は残されているといえます。それもあり、各社はアジアを中心として海外展開を進めるなど、新たな収益柱を生み出すために動き始めています。

今後、各社が海外事業を含め、他社と差をつけていくためには自社サービスを効率的に広げていくための武器が必要です。その際に、DXをどれくらい推し進められているかがカギとなるのではないでしょうか。

執筆者/
リビルダーズ編集部 城間 礼音 

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