情報発信元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF192EG0Z10C23A1000000/
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京都銀行が提供しているスマートフォンアプリ「京銀アプリ」のメニューを充実させていく。目標として2028年度の利用者を3倍超の100万人とする計画を立てている。
2023年中にまずは暮らしに役立つという観点で、「生活総合サービスプラットフォーム」を立ち上げ、複数のメニューを提供する。例えば、利用者の年齢などの情報をもとに地域商店や地元企業の商品・サービスの割引クーポンを提供する「地域クーポン」では、誕生日に地域の製菓店で使えるクーポンを検討している。
他にも地元企業の商品を取り扱うECサイト「ことよりモール」や、毎月の収入や自宅購入費、教育費負担などをもとにマネープランを作成できる「生活設計シミュレーション」など、プラットフォームとして機能させていく。
23年の上期には、利用者の属性に応じたデジタル広告の配信も開始する。京都銀行は、関西初の取り組みとして中小企業の広告も扱っており、アプリユーザーを地元企業に送客し地域経済の活性化を狙っている。
「預金・融資・為替」の三大業務を中心とする業態からの転換し、「事業領域の拡大」を目指している。実際に22年8月にはアプリの強化などを行う「DXビジネス開発部」や、23年2月にはデータ分析や活用をする「データドリブン推進室」を立ち上げている。
今後多くのデータが集まり、分析ができればコンサルティングの幅と質が向上するとみられる。現在のアプリ登録者は約31万人。都銀の銀行口座保有者の4割相当にあたる登録者100万人を目指して、京銀アプリの利便性を高め非金融事業の強化を進めていく。
【執筆者コメント】
地方銀行によるDXとして京都銀行の「京銀アプリ」の記事に注目した。執筆者自身も関西出身であり、甲子園のCMといえば「ながーい、おつきあい」の京都銀行と言っても過言ではないほど認知されていると感じる。
1941年に創立されてから地域に愛された京都銀行が、非金融事業としてDXを進めている。口座開設、京銀アプリ口座照会、スマート通帳、振込・振替などアプリ1つで銀行取引ができるという点については、他の銀行でも一般的になりつつあると思うが、今回の取り組みについて生活総合サービスプラットフォーム」を立ち上げるという点が魅力的だと感じる。
地域クーポン、ECサイトの「ことよりモール」、生活設計シュミレーションなどユーザーの日常生活がより便利に豊かになるサービスの検討が進んでいると見受けられる。
また利用者の属性に応じたデジタル広告の配信までできるようにし、かつ地域企業・商店からの広告も取り扱うことで地域が活性化される仕組みになっていることが素晴らしいと感じる。
データドリブン推進室を立ち上げたということからも、内製化の動きが強化され、幅広い多くのデータが集まることが予想され、そのデータを活かしてコンサルティング力やM&A支援力が高まるといった京都銀行全体にとっても好循環が生まれる。
DXを進めるうえでも、単に100万人まで増やして利益拡大という訳ではなく、「地域社会の繁栄に奉仕する」という理念に基づいてサービス提供がされている点が素晴らしいと感じる。2028年に100万人という目標を達成し、ながーいお付き合いのCMが今後も長く愛されるように注目していきたい。
執筆者/
リビルダーズ編集部 國本 樹紀