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(※外部サイト「Chatwork株式会社 2022年12月期本決算説明資料」を別ウィンドウで開きます)
Chatwork株式会社は、2022年12月期の決算を発表し、売上4,593百万円の前年同期比36.2%の増収を記録しました。特に売上のほとんどを占めるChatworkセグメント売上高は、38.5%増の4,368百万円となっており、順調に成長していることがわかります。
これは、2022年10月にプラン改定を行ったことによる課金ID数の大幅な増加が主因となっており、課金ID数は66.8万、前年同期比で22.1%の上昇がみられたとのことです。
また同社は、中期経営計画の、中小企業市場での圧倒的シェア獲得とそれを背景にしたビジネス版スーパーアプリとしてのプラットフォーム化に向けて、戦略を2つに整理、再編したと発表しています。
戦略としては、PLGモデルの推進により、ユーザー数拡大や高効率なユーザーコミュニケーションの確立、生産性重視の事業運営などを目指すとともに、BPaaSを軸に顧客ニーズに合わせた提案を行い大幅な生産性向上=本質的なDXを実現していくとしています。
【執筆者コメント】
ビジネスチャット市場は、潜在市場規模は6455億円と大きいにも関わらず、普及率は18%程度にとどまっているとのことで、今後大幅な成長が見込まれるマーケットであるとわかります。
そういった市場環境のなかで、幅広い顧客のニーズをキャッチし、それぞれの顧客課題に対して最適なソリューションを提供する、プラットフォーマーとしての価値提供を確立していく同社の新たな戦略は、まさにDXの本質をついた戦略であると感じました。
特に、BPaaSを利用した戦略について注目すると、この戦略がいかにDXの本質をついているかがわかります。ただSaaSを提供するビジネスモデルでは、忙しい、ITに詳しくないといったユーザーにとってSaaSを使いこなすことが難しく、支援は一次的なものになりがちです。
一方、SaaSを扱うにあたっての業務プロセスごと巻き取るビジネスモデル(BPaaS)では、クラウド経由で業務アウトソーシングができるため、より生産性を高めることができるとともに、継続的な支援を行うことができます。
SaaSだけでは本質的なDX実現にはならず、SaaS(Tech)とBPO(人材)をかけ合わせることでプラットフォームとして機能し本質的DX実現を支援できるというわけです。さらに、ビジネスチャットだけにとどまらず、他SaaS企業へ投資、提携関係を結ぶことで、スーパーアプリとして幅広い顧客ニーズに対応することもできるとのこと。
※スーパーアプリとは・・・プラットフォームとなる一つのアプリの中に、さまざまな機能を統合して、あらゆる場面で活用できる統合的なアプリ。
直近では、22年12月にHRテックのMINAGINEをグループ会社化し、HR領域のサービス拡張を図っているほか、FinTechサービスを展開するペイトナーへ投資を行うなど、スーパーアプリ化に向けて投資戦略を積極的に進めている様子も伺えます。プラットフォーマーとして本質的なDX支援を推進し、マーケットシェアを拡大していく同社。鍵となるBPaaS戦略の動向に注目していきたいです。
執筆者/
リビルダーズ編集部 甲山 奏子