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リクルートのセルフオーダーシステム 他社POSレジと初連携

情報発信元:https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2023/0201_12002.html
(別サイト「株式会社リクルートニュースリリース」を開きます。)

2023年2月1日より、株式会社リクルートは、オーダーシステム「Airレジ オーダー」において、新サービスを開始します。従来のサービスである客のモバイル端末からいつでもオーダーができる機能「セルフオーダー」について、他社のPOSレジと連携が可能となる「Airレジ オーダー セルフオーダー for POSレジ」というサービスを展開します。

従来提供していたサービスでは、アプリダウンロード無しで店舗のQRコードを読み取り、注文ができることができます。客にとっては店員を待たずにいつでも注文ができること、店舗にとっては注文の機会損失を無くし人件費削減につながることがメリットでした。ただこのサービスは、オーダーから会計まで完結するためにはリクルート社のPOSレジアプリ「Airレジ」と連携することが前提となっており、その前提があれば注文内容が自動でAirレジに連携される仕組みでした。一方他社のPOSレジとは連携できず、Airレジを活用していない企業、店舗に対してはセルフオーダーの導入ができない状況でした。

既に導入されているPOSレジとリクルート社のセルフオーダーを連携することができれば、店舗への導入ハードルが下がります。その第一歩として、NECプラットフォームズが提供するPOSシステム「FoodFrontia」と連携します。FoodFrontiaのサービスである注文管理、会計処理等の機能を使いつつ、セルフオーダーでの注文ができるようになります。これにより客の端末で注文をして、最後の会計まで一気通貫で行うことができるようになります。導入ハードルを下げることで、人手不足の解決、店舗のDX推進の支援を行っていく考えです。

【執筆者コメント】
今回はリクルート社のセルフオーダーシステムのニュースに着目しました。オーダーから会計まで一貫したサービスを受ける上で、工程ごとにシステムを選べる健全な競争状態にあるサービスだと考えます。

リクルート社のセルフオーダーは、同社提供のAirレジとの連携が必須のものでしたが、担当者によれば導入後は評判が良かったと言います。ホールスタッフの人手不解消につながったこと、注文回数が増えて注文の機会損失が減ったこと、ホールスタッフの余裕が生まれ客とのコミュニケーションを重視することができ顧客満足度向上につながったことなど、良い評価が得られていたとのことです。一方で別のPOSレジシステムなどを既に導入済の企業は、リクルート社のPOSレジに入れ替える手間やコストとセルフオーダーを導入するメリットを天秤にかけるため、導入のハードルが高い状態でした。

店舗に導入できるシステムは様々ありますが、客の動きを分解すると、予約、注文、会計となり、店の動きを分解すると、予約受付、注文受付、配膳、会計、となります。今回初の他社とのサービスの連携を行ったことで、リクルート社が提供するAirレジによって客の注文と店の注文受付を担当し、客の会計と店の配膳、会計をNEC社のFoodFrontiaが担当、客の予約と店の予約受付はリクルート社の予約台帳アプリ「Restaurant BOARD」が担うことで、複数社のシステムを用いて一気通貫のシステム化が実現できるようになりました。

他社の例を挙げると、USENが提供するオーダーシステムは、スマホやタッチパネルで注文でき、リクルート社のセルフオーダーと同じような機能が付いていますが、会計機能と連携させるためにはUSENレジFOODというPOSレジの導入が必要となります。一方食べログなどのサービスを提供しているカカクコム社の「食べログオーダー」は、QRコードからスマホで注文ができ、注文伝票が発行されるサービスです。こちらは東芝テックとスマレジのPOSレジに連携でき、会計までの一括サポートが可能になります。今後もその他のPOSレジと順次連携を行っていく予定であり、リクルート社のセルフオーダーと同じような他社連携スタイルです。

昨今のDX推進を妨げる要因となっているベンダーロックインですが、今回の飲食店へのシステム導入においても同じことが起こり得る可能性があります。サービスによってはPOSレジからオーダーシステム、それに紐づいたマーケティングツールなどが一元化されており、一部を他社に任せる形が難しいサービスもあります。「一気通貫」という言葉の裏には、「サービス提供企業に依存する」という意味を含む可能性があることを考慮する必要があるといえるでしょう。その意味では今回取り上げたリクルート社のセルフオーダーはPOSレジなどを複数企業で選ぶ余地があり、またリクルート社のセルフオーダーを選ぶ必然もなくなることから、他社と競合しながらサービスを展開する必要があります。提供企業にとってはサービスの質向上を継続的に行う必要があるため、企業状態としては厳しい面もありつつ健全な状態だと言えます。今後の機能改善や他社連携に注目です。

執筆者/
リビルダーズ編集部 橋爪 勝万

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