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富士通Japan、手術室の稼働率を向上し病院経営を支援する新ソリューションを提供開始

情報発信元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000082.000093942.html
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富士通Japan株式会社は、手術室の稼働率向上により病院経営を支援する新たなソリューション「Assignment Master」の開発・提供を開始した。

本ソリューションは、手術室や医師・看護師の予定など、手術で必要となる様々なリソースを富士通株式会社が保有する最適化エンジンにより調整し、自動的にスケジュール作成が可能だ。

サービス提供の背景

昨今の新型コロナウィルス感染拡大により、病院経営はさらに厳しさを増しており、経営改善が課題となっている。基本的に病院の収入源のメインとするものは「手術費」であることから、手術室の効率的に運用することは収益改善が見込める対策として注力すべきものとされている。

しかし、手術室のスケジュールが最も効率の良い運用を実現するために、予定される手術日程と手術室や手術機器、医師や看護師の勤務予定などをもとにして手術部のスタッフが時間と労力をかけていた。

Assignment Masterの特長

①手術スケジュールの割り当て自動化と作業時間の削減

新たに手術の予定を入れる際、各曜日に手術室の使用が優先される診療科や、手術で使用する機器の数や特定の機器の設置が必要かどうかなど、各条件を考慮する必要がある。

Assignment Masterは、これらの制約条件を設定しておくことで、優先度の高い条件を満たすように予定を調整してくれて、必要なリソースをフル活用できる手術スケジュールを即座に自動作成してくれる。

また、調整作業を行うスタッフは、医師が電子カルテに入力した手術日や手術室への入室時間や所要時間の情報などといった条件を照らし合わせることなく、ワンクリックで複雑な条件を考慮した手術スケジュールを作成することができる。

これにより、手動で行っていた調整作業の時間を約95%削減できてスタッフの作業負担軽減とともに、医師や看護師の割り当て重複を防止することが可能だ。

②手術室の稼働率向上による、病院経営改善の支援

手術室の無駄な空き時間を防ぎより効率的に稼働させることが可能となるため、手術実施件数の増加による経営改善を支援するとともに、良質な医療サービスの提供が可能となる。

【執筆者コメント】
今回は病院経営における医療従事者スケジュール管理のDXの例をご紹介いたしました。福祉医療機構による2020年度の調査(※1)によると、医業の利益率は一般病院で-1.1%、療養型病院で2.1%、精神病院で0.4%となり、どの病院類型も例年と比べて大きく減少しています。

また、日本医師会総合政策研究機構の発表によると、人口1,000人あたりの医師数はOECD(世界38カ国が加盟する経済協力開発機構のこと)での平均が3.5人であるのに対し日本では2.4人と、諸外国と比較して医師が少ないことが指摘されています。

このように、医療現場では常に人材不足が叫ばれている一方で、各病院の経営状況悪化やITと医療に精通する人材が少ないなどの理由から、病院におけるDXは推進が難しい側面があります。

今回ご紹介したソリューションを導入すれば、今までかかっていた調整業務を大幅に減らすことができる一方で、ただ導入で終わってしまえば全く意味がないものになってしまいます。今後、各医療機関がDXを加速させていくためには、デジタル人材の積極採用やITに知見をもつ企業との協業などが可能となるよう、国などによる包括的な支援がカギとなりそうです。

(※1)福祉医療機構|2020年度(令和2年度)病院の経営状況
(※2)療養型病院とは・・・長期療養を必要とする比較的重度の要介護者に対し、介護や必要な医療を提供する施設のこと。また、今回の調査では全病床に占める療養病床が50%超の病院を指す。

執筆者/
リビルダーズ編集部 城間 礼音

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