情報発信元:https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/001036589.pdf
(別サイト「三重県公表資料「みえのデジタル社会の形成に向けた戦略推進計画(仮称)」」を別ウィンドゥを開きます。)
2022年9月20日、三重県デジタル社会推進局は、「みえのデジタル社会の形成に向けた戦略推進計画(仮称)」をまとめました。2020年6月に「みえデジタル戦略推進計画」を策定したものの、コロナ禍で明らかになったデジタル化の遅れ等を加味し、全面的に改定をしており、その中間案という位置づけです。
本計画は、「あったかいDX」を基本理念とし、デジタル社会の推進によって「誰もが住みたい場所に住み続けられる三重県」を目指すものです。「あったかいDX」とは、DXによって県民の時間や気持ちにゆとりを作り、自己実現を図り幸福に結びつけることを指しています。
そのために、3つの分野で詳細な目指す姿と取り組みを設定しています。
(1)暮らしのDX
(2)しごとのDX
(3)行政のDX
それぞれの中身は以下の通りです。
(1)暮らしのDX
県民が健康で心豊かな生活を実感できることを目指すものです。そのために、防災や防犯にAI等デジタル技術を活用するほか、体と心の健康を維持する仕組みとしてデータ活用、SNS活用を行います。また教育面においてもICTを活用し学習活動の充実を図るとしています。
(2)しごとのDX
新事業創出、また現在の事業の生産性や安全性を向上させることによって、持続可能な産業を実現することを目指すものです。観光業においては県のマーケティングプラットフォームを活用しデータ分析を行い、戦略的な観光促進を展開します。また農林水産業や建設業においては、ICTを活用し生産性と安全性の向上を行います。既存産業や新産業においてはデジタル技術導入の支援をする方針です。またDX推進の担い手となる人材を育成するため、研修や講座等の実施をします。
(3)行政のDX
行政サービスの利便性向上、ならびに利用者目線の行政サービスの実現を目指すものです。県独自の行政手続きについては、令和6年度までに75の重点手続きをデジタル化するとし、スマートフォンを通じて手続きができるようにします。その他、県が保有しているデータを活用して新サービスの立案をし、デジタル技術の活用による業務の効率化を行います。また県と市町の連携を強くし、データやデジタルサービスの共有を行うとしています。
【執筆者コメント】
今回は三重県が発表した、DX推進の計画中間案を取り上げました。中間案には多様な内容が盛り込まれており、三重県の意欲の高さがうかがえる内容だと感じました。
・オープン、透明、公平
・安全、安心、強じん
・社会課題の解決、新たな価値の創造
・迅速、柔軟、継続
・ユーザー視点
本計画案の中で、上記5つをDX推進における重要な視点と位置付けています。計画案では、暮らし、しごと、行政の様々な面においてデジタル技術やデータ活用を行うことが記載されていますが、「迅速、柔軟、継続」という要素は非常に重要です。まずは迅速にリリースを行うこと、その結果うまくいかなかった部分は柔軟に修正や改善を重ねて、それを継続していけば自ずと良いサービスにつながるでしょう。
今回取り上げたものはDX推進のための計画案ですが、三重県は既にDX推進に向け様々な取り組みを行っています。例えば、デジタル社会推進局が運営する「みえDXセンター」は、DX推進のための相談窓口として設置されています。県民や県内の事業者のDXを、専門家やDXの先頭を走る企業等が県と連携して支援をするものです。これらの被相談者はみえDXアドバイザーに登録されています。他にも一般人がホームページを通じて、デジタル技術によって解決したい地域課題を県に伝える仕組みも用意しており、双方向のコミュニケーションによってDX推進を行っています。
また来月10月2日は国が設定した「デジタルの日」です。デジタルの日とは、デジタルについての振り返りや体験、見直しを行うことで、「誰一人取り残されない、人にやさしいデジタル化」を実現するために設定されました。三重県では、みえDXアドバイザーがパネリストとして、デジタルツールの紹介や体験等のイベントをオンラインで開催する予定です。
このように、三重県では前向きにDX推進に向けて様々なイベントや取り組みを実施しており、さらに今回取り上げた計画案に記載があるような取り組みを行う予定です。以前取り上げた、東京のDX(https://rebuilders.jp/dx-news-20220919/)とは予算が大きく違うため、両自治体のDX推進の手法の差に注目です。
執筆者/
リビルダーズ編集部 橋爪 勝万