情報発信元:https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2208/18/news047.html
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情報処理推進機構(以下、IPA)は、「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年版)」を公開しました。そちらによると、DX推進において、「先行企業」と定義される企業の割合が、2020年から2021年にかけて倍増していることがわかりました。
こちらのレポートは、経済産業省が作成した「DX推進指標」に基づいて、各企業が自己診断した結果をまとめたものになります(486社参加)。
この「DX推進指標」とは、二つの指標から構成され、各指標ごとに定性指標と定量指標に分けられています。今回は、[DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標]の定性指標35項目において、6段階ある成熟度評価がどのような結果を示しているかに注目しました。(※レベル0:DX未着手、レベル5:デジタル企業としてグローバル競争を勝ち抜けるレベル)
IPAは、35項目の指標の成熟度が平均レベル3(全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベル)以上の企業を「先行企業」と定義づけしています。レポートによると、先行企業の割合は、2020年度は8.5%、2021年度は17.7%で一年で倍増していました。一方で、レベル3未満の企業が、全体の8割を超えることもわかりました。
また、全企業の指標ごとの平均値を比較することでみえたこともあります。最も大きい成熟度の値を示した指標は「プライバシー・データセキュリティ」で、その重要性が広く社会で認識されてきているからだろうと推測されています。
一方、人材関連の指標は値がそこまで伸びておらず、人材育成に苦戦を強いられている企業が比較的多いことも伺えます。直近3年のデータを比較すると、35項目の指標すべてで成熟度が上昇傾向にあるとのことです。特に2020年から2021年は項目全体をみても上昇傾向が顕著に現れており、IPAは、DXの成熟度が急上昇したと見解を示しています。
【執筆者コメント】
今回は、DX推進指標に基づく各企業の、DX推進に対する自己評価の結果をみてみました。所感として、レベル3未満の企業の割合が8割と非常に多く、各企業自己評価が低めだなあと感じました。全社横断的なDX推進はそれだけ難しく、課題もまだまだ多いということが伺えます。
こちらのレポート作成にあたり、自己評価を提出した486社はどのような企業が参加しているのか調べてみると、「旭化成株式会社」「キヤノン株式会社」「住友商事株式会社」「凸版印刷株式会社」「日鉄物産株式会社」などなど、名だたる大企業が数多く参加しています。もちろん中小企業も参加しており、レポート内では規模別の比較も見ることができます。
(※参考「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年版)」)
ここ最近、「ニトリホールディングス」がDX、内製化に成功したという記事をよく目にしますが、実際そのような企業は少なく、DX推進に関しては多くの企業が発展途上にあることが感じられました。
また、こちらのレポートのまとめの部分に、以下のようなことが書かれてありました。
「危機感の指標が他の指標よりも比較的高い。また複数年にわたってこの自己診断を出した企業の危機感の指標は、そうでない企業の指標に比べて顕著に高かった。」
このことから、参加企業486社は全体的にDX推進に関して高い危機感を持っており、今後もITへの投資や社内改革を積極的に行っていくことが予想されます。このことは多くのITベンダーにとって大きなビジネスチャンスに繋がるのではないかとも思います。
毎日多くのDX推進に関わる記事を目にするようになった今、先行企業が倍増しているのも納得がいきます。自社のDX推進を高く評価できることは良いことだと思いますので、そのような企業が今後もどんどん増えることを期待したいものです。
執筆者/
リビルダーズ編集部 甲山 奏子