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新デジタル大臣 河野氏が会見で示したDX・デジタル施策、IT企業が着目すべき2つのポイント

(情報発信元:2022年8月12日 デジタル大臣就任会見より)

8月12日、デジタル大臣を命じられた河野太郎氏が初会見を行いました。デジタル大臣の役割のほかに消費者庁など多数役割を担っていますが、デジタル、ITやDXに関わる部分をまとめます。

会見本文より

デジタル庁の役割について
国民の生活を便利にすると同時に、ぬくもりのある社会を作るためのデジタル化を加速する

テレワーク関連について
前回担当したときに消費者庁を徳島県に一部移転したが、今はどこかに移転するという必要がなくなった東京に残った部分については積極的にテレワーク、できるのであれば全員テレワークにする。ただ、消費者庁の固定電話が古くて転送できない等問題はあるので、早急に対応する。

公務員制度
霞が関の働き方改革が急務。働き方が改革されてなくて人員を無駄に消費しているのであれば増員しない。FAX使用の調査等もやる。一般職、総合職がデータの取りまとめ等をやっているが、期間業務職員との業務の切り分けをする。

質疑応答より

▼テレワークによる省庁移転について
魅力的なところにどんどん人が流れていくだろう。霞が関が東京一極集中を逆回転させる動きをする。消費者庁だけでなく財務省や経産省の人が徳島に行くのも良いと思う。

テレワークの推進について
デジタル庁は一番業務的にテレワークに適している。他の省庁にも同じような働き方ができるように、ネットワーク、ソフトウェア、ハードウェアの部分でセキュアにできた部分についてはデジタル庁が率先してヨコ展開する。日本はテレワーク・デジタル化が遅れていてかつ人口も減っている。人間がやらなきゃいけない部分に注力するために、人に寄り添うためにデジタル化をする

デジタル改革という名前について
何かをデジタル化するときに、ただ置き換えするのではなく業務見直し等改革をしなくてはと思っているので改革という言葉を付けている。

DXについて
日本のDXが遅れたのは行政・民間問わず。個人的な意見として、海外はデジタル化するときにビジネスモデルの変革をやったのに対し、日本はコストダウンや省人化でとどまったのではないか。その背景はIT人材が偏っていたからではないか。

行政の中に発注書を書けるようなITに知見のある人がいないから誰かに書いてもらう、みたいなことが民間にもあったのではないか。誰がやっても同じ部分については外部に発注することができれば、日本のDX はもっと実のあるものになる。まずは行政がデジタル化すればこんなに変わるというのを国民に実感してもらうことが大事だと思っている。

今後の記者会見について
基本オンラインで実施。記者もテレワークできるように行う。

【執筆者コメント】
今回はデジタル大臣になった河野氏の会見をまとめました。この会見の中でIT企業が注目すべきポイントは2点あると考えます。

まず1点目はテレワークについてです。河野氏によれば、ファックスや固定電話の使用のためまだまだテレワークが難しい現状があるとのことです。内閣官房内閣人事局が令和3年7月に発表した、令和2年度の国家公務員のテレワーク状況によると、テレワーク可能な職員が58301人、テレワーク実施日数は1年間で49.6日です。つまり週に1~2回程度のテレワーク率という状況です。民間企業ではコロナ禍でテレワークへ移行した後に出社する方針にした企業とフルテレワークにした企業で分かれましたが、省庁や公務員の働き方はまだ出社に依存せざるを得ない状況といえます。

例えば旧来の固定電話は電話線を張る中で内線を構築しますが、その装置をクラウド上に構築することで庁舎に出社する必要がなくなります。このようにテレワークを支援する企業にとってはビジネスチャンスがあると言えるでしょう。

着目すべき点2つ目としては、省庁のシステムにおいては外注をすることが基本であることです。「誰がやっても同じ部分については外部に発注することができれば、日本のDX はもっと実のあるものになる」という発言は昨今大企業で進んでいる内製化の動きとは真逆と言えるでしょう。

民間と省庁では事情が違う面もありますが、コロナ等急な変化に応じるシステムを構築するためには内製が向いていると考えます。河野氏の会見では推進力をもってデジタル化を進めていくことが語られました。地方自治体を含め、公務員が働く職場にデジタル化、システム化の需要が増えていくと考えられます。今後どのように施策を進めていくか、IT企業は注視していく必要があるでしょう。

執筆者/
リビルダーズ編集部 橋爪 勝万

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