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昨今、JA部は農村部にある店舗運営について問題意識を募らせてきた。総人口のおそよ3割(約3600万人)が高齢者という、超高齢者大国の日本において、農村部の店舗運営は課題が多い。
地域の人口や、農業に従事する人も減る一方で、かつJAの店舗再編等により職員も減少していることで顧客との接点が減り、ニーズの汲み取りも難しくなってきた。
この業況を改善するため、JAはNTTデータからノーコード開発(※)基盤の提供を受けることでデジタル店舗の運営に8/1から乗り出すと発表した。デジタルを架け橋にして、薄くなってしまった地域住民との接点を取り戻そうという狙いだ。
(※)ノーコード開発とは・・・
プログラミンの知識がない人間でも、思い通りのアプリケーションを開発できる開発形式のこと。ユーザーはパソコンモニター上でグラフィカルな画面を操作することで、自分の業務に合ったアプリケーションを作成することができる。ノーコード開発の概念としては、あらかじめパート化されたプログラム群が用意されており、それをユーザー好みに組み合わせることによって実現される。
今回のデジタル店舗の運営に合わせて、今後はよりデータドリブンな経営に切り替えていく。デジタル店舗を運営する上で販売データや顧客データを収集し、今度はそれを分析することで非接触・接触接客の両面の改善に活かしていく。
【執筆者コメント】
今回の記事を読んでいてどうにも疑問なのが「高齢者が多い地域=デジタル施策が有効」という方程式が成り立つのか、という疑問だ。
というにも、デジタル化社会に移行してから問題視されている社会的な問題の1つに「デジタルディバイド問題」というのがある。これは、デジタル端末を扱える人とそうでない人との間に情報格差が生まれているという問題のことだ。
【参考記事】「日本総研 デジタルディバイド問題について」
今回のJAの施策は、この問題に対しての直接的な解決策かというと、それはいささか疑問に思える。しかし逆に言えばデジタル施策の効果が薄いとなれば、やはりオフライン施策が重要だという視点の転換にはなると思う。
【参考記事】「REBUILDERS オフラインから人はいなくなるのか?」
高齢者が多い地域において、高齢者の利用の活性化にどう取り組みかは避けては通れない。デジタル施策が打ち手にならないというのは、内閣府の世論調査「デジタル端末を使っているか」が示唆している。およそ6割が使っていないのだ。そしてその理由が「自分の生活には関係がない」が5割、「使い方がわからない」が4割という結果が出ている。
そんな状況でデジタル店舗を構えたところで、高齢者が使い始めるわけがない。必要なのはデジタル端末が自分に必要がないと感じている高齢者への活性化施策ではないだろうか。このターゲット層への活性化施策に取り組まないことにはデジタル店舗の利用率は上がらないと考えられる。
デジタル化社会だからという理由でオンライン施策に皆頭を悩ませがちな気がしてならない。見落としてはいけないのはオフライン施策が十分かという点であり、オンラインとオフラインの施策は両輪で実施することに意味がある場合も多い。そこを十分検討してから施策を実行に移したほうが良いのではないだろうか。JAの今回の経営見直し施策はまだ最初のステップということなので、今後もJAの進捗を追っていきたいと思う。
執筆者/
リビルダーズ編集部