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データを駆使した「デジタル農業」が成功する理由

2022年5月13日に、NDUSTRIAL-X代表取締役であり、広島大学のAI・データイノベーション教育研究センターの特任教授である八子知礼氏の著書から、DXの意味、必要性やトレンドなどを分析した記事が掲載されました。

ニュース掲載元:東洋経済ONLINE 「データを駆使した「デジタル農業」が成功する理由」
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総務省の定義する「データ主導の『超スマート社会』への移行」について触れた上で、DX推進の注目トレンドは①暗黙知の形式知化、②過去解析から将来予測への移行、③部分最適から全体最適への移行、の3つであると提示しています。また、DXに必要不可欠なものは「データ」であることを言及しつつ、DXを理解するためには「デジタルツイン」という概念であるとしています。

「デジタルツイン」とは、「現実空間のさまざまな事象、状態、環境をデータで捉え、デジタル空間上に、同一条件の環境を構築する」ことを意味し、データの取得から分析、シミュレーションとフィードバック、といった、すなわちITを活用したPDCAを構築する方法論を指すのです。この考え方を推し進めることによって、ビジネス全体の仮想化を実現し、適切なビジネス展開ができるようになる、としています。

【執筆者コメント】
DXを日本全体で推進する機運がある中で、「デジタルツイン」という考え方によって、改めてビジネス全体をアジャイルで進めることの重要性が説かれた記事になっています。
また、近年バズワードとなりつつある「メタバース」、すなわち仮想化という観点を、ビジネス全体に盛り込むことが可能であることも示唆されているように受け取れます。

経済産業省はDXを「企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するとともに、競争上の優位性を確保すること」と定義しており、DXのゴールは①ビジネスモデルの変革、②競争上の優位性の確保であるとしています。

企業全体としてDXを推し進める方針がありつつも、データを集積するだけ、紙だったものをデジタル化するだけ、という企業も多い中で、記事に紹介されていた「デジタルツイン」という考え方を理解し実際に実行した企業もあります。

例えば、竹中工務店では2021年11月より、建設デジタルプラットフォームの運用を開始しました。全業務のデジタル化を行いデータの蓄積をすることで、業務プロセスにおいてデジタルツインの構築を目指すというものです。これまで個別に蓄積していたデータを集約することで、実際の施工をデジタル上に再現し、データの活用へつなげていきます。AIの活用も可能となることで、事業の効率化、新たな価値創出を進める取り組みです。

また、三越伊勢丹ホールディングスではスマートフォン向け仮想都市空間サービス、「REV WORLDS」仮想伊勢丹新宿店を運営しています。ユーザーはアプリ上でアバターを操作し、バーチャル空間の伊勢丹新宿店を動くことができます。気になるアイテムは、オンラインストアにつながり購入することもできます。これまでのECの良さと直接来店することの良さを掛け合わせ、バーチャルファッションショーなど新たな価値を生み出しています。

これらの事例に共通するのは、現実空間と仮想空間を結び付けて捉えているという点です。何のデータを蓄積し、どのようにデジタル化をするかを考えるだけで終わりにしては、DXは成しえません。蓄積したデータやデジタル化したものを現実空間に落とし込み、ビジネスモデルの変革や競争優位性の確保につなげるかを考えることが、DX推進において重要といえるでしょう。

執筆者/
リビルダーズ編集部

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