民間企業の出身者が群馬県で職員主役の変革を進められるようノーコードツールなどの活用を促すDX担当者の活躍について、日経クロステックが報じました。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01159/040400030/
(※外部サイト「日経クロステック」が別ウィンドウで開きます。)
私は約10年にわたり、IT企業などで政策渉外の仕事をしてきた。経済産業省出身の宇留賀敬一副知事とはもともと面識があった。前職を退職した直後の2019年秋に、副知事に就任したばかりの宇留賀氏から声をかけられ、山本一太知事とも話をした。その際「この人たちと一緒に働けば面白そうだ」と思い、当初は非常勤のCDO(チーフ・デジタル・トランスフォーメーション・オフィサー)の仕事を引き受けることにした。その後、2021年4月からは常勤のDX推進監となった。
引用元:日経クロステック「群馬を最先端デジタル県へ、民間出身のDX推進監が職員主役の変革を促す」
【執筆者コメント】
リビルダーズ編集部では、以前にも秋田県のDX推進のニュースについても取り上げました。
参考記事:「高齢者人口比率1位の秋田県が4ヵ年にわたるDX計画を打ち出す」https://rebuilders.jp/dx-news-20220330/
ここ最近は各自治体が競うようにDX推進をゴリゴリ進めているという話を聞くようになり、なんとも編集部としては嬉しい限りです。今回群馬県の事例において注目すべきは、DX推進のための人材を民間企業出身者から採用したという点でしょう。
以前取り上げた秋田県においては、人材採用をしたというエピソードは見られず、民間企業や大学と連携してDX推進を精力的に進めるという話でした。
正しいトップダウンで民間出身者をDX担当者に抜擢
記事に記載がある通り、DX担当者の岡田亜衣子氏は群馬県の知事と副知事と話を重ねた上で、非常勤の CDO(チーフ・デジタル・トランスフォーメーション・オフィサー)(※)としてジョインしたようです。
(※)企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進をリードする役目としてCDO(最高デジタル責任者)やCDXO(最高DX責任者)という言葉があります。また、同じ略のCDO(Chief Data Officer)や似た役職のCIOもあるので以下に整理します。
CDO・・・Chief Digital Officerの略で、「最高デジタル責任者」
CDXO・・・Chief Digital Transformation Officerの略で、「最高DX責任者」
CDO・・・Chief Data Officerの略で「最高データ責任者」こちらは企業が保有するデータを分析して活用する役割です。
CIO・・・Chief Information Officer「最高情報責任者」の略で、主にITシステムの保守運用を担当し、既存の業務プロセスの改善や社内のITセキュリティを担当する役割です。
(CDOは、DXを通して新しいビジネスモデルを生み出して組織変革を担うので、社内だけでなく顧客や競合相手を意識して行動する経営視点を持ち合わせている点がCIOとの違いです。)
そこから約1年半をCDOとして勤め、2021年4月からは知事直下の組織「デジタルトランスフォーメーション推進監」に常勤として就任したようです。なるほど、ここには知事の正常なトップダウンがあったと考えるのが筋でしょうね。
筆者としては知事は群馬県のDX推進のために勝負をかけた判断をしたのだと感じました。やはりスピーディーにDX推進を進めるためにはITに明るいDX専属の人材を配置するは有効かと思います。知事にとって民間企業で叩き上げられた岡田氏の経験や人柄は適任だったのではないでしょうか。
DX担当者が現場を巻き込み共創関係を築けるか
しかし、ここで多くの企業が陥る落とし穴が、「DX担当者を配置すればうまくいくという幻想」です。この点においては「やはり、DXで一番変革しなければいけないのは社長で確定。」https://rebuilders.jp/president-dx/#st-toc-h-5 でも触れていますが、「セクショナリズムに翻弄されず、断固トップダウンで組織変革を行っていけるかどうかに尽きる」とリビルダーズ編集部では考えています。
群馬県においても、正常なトップダウンが必要不可欠ではないでしょうか。そう思える岡田氏の発言が日本経済新聞の取材記事内にありました。「県庁内における職員の意識改革についていえば、まだ人によって違いがあり、まだら模様だと感じている」と答えている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC21APY0R20C21A4000000/
自治体に限らず、民間企業においても既存の業務を変えたくないという現場の抵抗勢力は強いものです。DX担当者はトップに適時協力を仰ぐという「頼る力」も必要ではないでしょうか。トップが現場の温度感をキャッチするのは難しいので、そこはDX担当者によるボトムアップをしつつ、トップにどう動いて欲しいかを提案して、かつ現場を巻き込んで共創関係を作っていくことがポイントかと筆者は考えます。
余談ですが、自治体内にオープンソースを扱える職員がいたおかげで、新型コロナウィルスの陽性患者数を公表するWebサイトを一週間で完成させるとありましたが・・・そういう優秀なIT人材こそDX推進チームの一員に加えた方が良いのではないかと思いました。
執筆者/
リビルダーズ編集部