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【JTB×KDDI】空港にスマートグラス設置で観光DX

情報発信元:https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2023/02/28_jtb_dx.html
(別サイト「JTB ニュースリリース」を開きます。)

2023年2月28日、株式会社JTBはKDDI株式会社と観光DXを推進するために協業することを発表しました。新型コロナウイルスで落ち込んだ観光需要の回復と、従来観光産業が抱えてきた課題の解決のため、KDDIのIT技術やデジタルソリューションを用いる施策を行います。

最初の取り組みとして、関西国際空港にある「関西ツーリストインフォメーションセンター」に、スマートグラスで観光を疑似体験できるブースを設置します。2023年3月10日から同年3月31日まで実施する予定です。

この取り組みはAR技術を用いて、外国人旅行客が最初に足を踏み入れる空港を、観光地の景色を疑似体験できる場所にするという取り組みです。各観光地の魅力を伝えることで送客に繋げるという狙いです。その場に赴かないとみることができない光景に没入することで、アドベンチャーツーリズムの疑似体験ができます。

今回の協業の背景として、政府が技術の力による地方創生を促していることが挙げられます。政府よりデジタル田園都市国家構想が発表されたこともあり、地方からデジタル変革を行い都市部との差を縮めることが必要とされています。

今後はスマートグラスの取り組み以外にも、空港での外国からの観光者受け入れ対応、バスなどの移動中のガイドツアーなどにおいてもデジタルを活用する方針です。また自然や文化、アクティビティ体験の訴求をデジタル端末で行う想定です。

【執筆者コメント】
今回は、JTBとKDDIによる観光DXの取り組みを紹介しました。送客に着目した取り組みは今後観光業界に限らず増えていく可能性があると感じました。

観光庁によれば、観光DXとは、業務のデジタル化による効率化のみならず、データ活用によってビジネスの再検討、観光ビジネスの創出をすることとしています。その中にはマーケティングの強化というテーマも含まれています。観光客の年齢層や性別、出身国などの属性と、観光した場所の情報を組み合わせることができれば、より効果的に観光客に魅力あるサービスを打ち出すことができます。

JTBが昨年8月に観光DXの事例紹介をしており、観光客の行動や考え方をデータ収集により分析し満足度を上げることでリピーターを増やす取り組み事例や、観光地の入場を滞りなく行うためにチケット販売数をインターネット上で管理する事例が記載されています。訪れている人をいかに再訪させるか、今のサービスをどれだけ魅力的に改善させられるかといったテーマがある一方で、今回の取り組みは、上記の段階以前のマーケティング、送客についてです。

送客とはマーケティング用語の1つで、集めた顧客を営業へ送ることで売上に繋げることを指します。今回のスマートグラスの事例で言えば、空港で集めた外国人の旅行客を、各地域の観光業者に送り売上に繋げるということになります。コロナ禍でインバウンドが見込めない時期が長かった日本ですが、徐々に回復していることから、今年はインバウンドをいかに取り込むかが大事になるでしょう。

今回の取り組みを今後どのように活用していくか細かいところまでは発表されていませんが、各地域の観光をAR技術で没入体験できるサービスは、観光地の魅力をアピールすることに長けていると考えます。空港で魅力的な観光地の情報を先出しできれば、気に入った観光地に来てくれる可能性が高いです。このサービスに投資したいと考える観光地も多いでしょう。今後観光業に限らず、娯楽などでも同じようなサービスを展開したいとなる可能性は十分にあると思います。

一方で今回の取り組みでは、インバウンドの量を増やすのは難しいです。空港で実施するということは日本に来た外国人がターゲットなので、日本に来るか迷っている段階では日本の観光地の魅力を伝えることができません。外国から日本を体験できるようなサービスと連携できれば、外国人観光客の増加にもつながると考えます。

外国人観光客により寄り添った形となる今回の取り組みについて、今後のサービスの拡大や方向性の定め方に注目です。

執筆者/
リビルダーズ編集部 橋爪 勝万

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