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住友不動産株式会社がDMからネット広告に移行し、年60億円削減

情報発信元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1236Z0S3A110C2000000/
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住友グループに属する大手不動産会社の住友不動産株式会社がデジタル戦略に力を注いでいる

これまで土地や住宅の所有者に対し送付していたDM(ダイレクトメール)を廃止した。個人情報の取り扱いが厳しくなっていることに加え、営業効率の向上で働き方改革を進めていることが背景としてある。

合法ではあるが、登記情報を使い、住宅や土地を持つ人など関心のありそうな人に個別で郵送していたが消費者の理解が得られにくいことから見直し。分譲マンションや一戸建てに住む人を対象に、人海戦術で投げ込みチラシを大量に入れていく手法については21年7月に廃止している。

22年末にDMの全廃も決定し、年間50億~60億円の経費を削減する方針だ。削減した年間60億円程度の経費を、動画などネット広告や人工知能(AI)を使った査定に投じていく。

例えばWeb広告に加え、YouTubeも積極活用する。また、利用者の要望に応じて対応するホームページ(HP)を立ち上げ、保有する物件価格を事前に把握できるAI査定も提供している。

更には、オンライン内見や契約業務や書類の電子化、メタバース(仮想空間)で新築分譲マンションの販売を始めるなど不動産大手で初の動きも実施している。

住友不動産販売の売買仲介件数は22年3月期で3万8144件と業界2位につけている。 DM作成に割いていた時間を顧客との関係づくりやデジタル投資に充てることで、首位を目指していく。

【執筆者コメント】
今回は不動産業界大手である住友不動産の事例に注目した。DXを進めるための費用の算出方法や、何を変えるのかという点が分かる素晴らしい取り組みだと感じた。

今回の場合で言えばDM(ダイレクトメール)を全廃したことで年間50億~60億円もの費用が削減できたことだ。個人情報の取り扱いが厳しくなるなど、今までのやり方が通用しなくなるタイミングに合わせて営業手法を切り替えることで大きな効果があると感じた。

企業の規模にもよるが、業務の手法を変えるだけで60億もの費用削減に繋がるということも驚きである。手法を変えることによって削減したコストをデジタル戦略に投資していくという動きが素晴らしく、業務を変えるためにシステムを導入するといったやり方だけがDXではないという良い事例でもあると感じる。

デジタル戦略について住友不動産の場合であれば、インターネット広告や業務のデジタル化に投資をしていた。総務省が公表した21年の情報通信白書では、不動産業などは全体の6割弱がDXの取り組みを実施しておらず今後もする予定がないと回答していたとのことだ。

不動産業界は中小企業が多く紙文化が根強いという記載もあったが、不動産業界でDXを進められれば差別化できるチャンスである一方で、DXをするための費用を算出できていない企業が多いのではないかと感じた。住友不動産は業界初の住宅販売にメタバースを取り入れた実績もあるので、不動産業界のDXリーダーとしての活躍にも注目したい。

執筆者/
リビルダーズ編集部 國本 樹紀

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