駐車場予約アプリ「akippa」を運営するakippa株式会社は三菱地所コミュニティ株式会社と「akippa private」に関するパートナー契約締結が完了したことを発表した。
三菱地所コミュニティは受託管理しているマンションの空き駐車場に関して、マンション住民が予約して利用できるようになることで、居住者の利便性向上と、管理組合の収益化を目指す。
また、akippaは大手管理会社と組むことで、予約可能な駐車場および利用者の増加を目指す。
近年、車を持たない世帯も増えており分譲マンションには空き駐車場が目立っている状況であるが、一方で自身のカーシェア利用をする際や、来客・訪問介護・住宅リフォーム工事の際など、一時的にマンション駐車場を利用したいニーズは多くある。
しかしマンションによっては来客用駐車場の貸し出しがないことや、貸し出しがされているとしても管理会社が紙の台帳と現金などでアナログに管理しているなど、利便性の面で課題も存在している。
「akippa private」とは、以上の課題を解決するべくakippaが2022年3月より開始したマンション居住者向けの駐車場シェアサービスである。マンション住民に対して専用の駐車場予約ページ・パスワードを発行し予約できるため利用者をマンション居住者に限定することが可能だ。
三菱地所コミュニティとマンション管理組合は、akippa privateの仕組みを利用し、Web上での事前予約・事前決済が可能となることで、新たな人員配置を行うことなく、来客用駐車場のスムーズな貸し出しが可能となる。さらに、台数管理も簡単に行えるため、駐車場の契約状況に応じて、柔軟な貸し出し台数の変更が可能だ。
【執筆者コメント】
今回はマンション駐車場の利用方法を拡張するDXの例をご紹介いたしました。
公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の2022年の調査(※1)によると、日本のカーシェアリングサービスにおける車両ステーション数は5.3%(前年比)増加して20,371か所となっています。また、車両台数もそれに伴い19.1%増加、会員数は17.4%増の260万人と急激に裾野を広げている業界となっています。
今回ご紹介したサービスが様々なマンション・施設で取り入れられることとなれば、特に都市部で起こっている駐車場が無い、という課題を一時的な貸し駐車場という形で解決することができるかもしれません。
一方で、Webであったとしても事前に予約しておく必要があるなど、ユーザー側の計画性も必要となることから、利用できる場面は限られてくるともいえるでしょう。管理者のみならずユーザー側が利用しやすいサービスであるということを示していけるかどうかが、さらなるサービス拡大のためのカギとなりそうです。
今後、カーシェアリング業界と併せて駐車のDXが進んでいけば、もはや自動車は所有するのではなく利用したいときに気軽に利用できるものに認識が変わっていきそうですね。業界全体のこれからのDX動向に期待です。
(※1)公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団|わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移
執筆者/
リビルダーズ編集部 城間 礼音