情報発信元:https://japan.zdnet.com/article/35191343/
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株式会社ベネッセスタイルケアは、同社が運営する65の保育園のうち62拠点で、保育業務を支援するICTシステム「CoDMON」の一斉導入を2022年4月よりスタート、62拠点全てでの導入開始を3ヶ月という短期間で実現させました。
同社は、こちらのICTシステム活用の目的を、各園の「保育の質向上」「働き方改革」のさらなる推進としています。
また、保育ICTシステムの導入にあたり、年齢や保育歴を問わず、IT関連が得意な現場スタッフを「IT特命担当」に任命して、彼らを本取り組みの推進役として位置付けています。
その多くが若手スタッフ中心となっており、各園長と連携しながら、導入体制の構築から他スタッフへの情報発信とシステムのレクチャー、保護者への説明までを行ったとのことです。
この3ヶ月で、以下のような効果が見られています。
【保育の質向上】
・保育活動の記録をより簡単に作成でき、スタッフ間での共有もしやすくなった
・他クラスの記録が見れるため、担当外の子供に対してもその子に合う声かけができた
・お迎え時間前に保育園の様子を保護者に伝えられるため、お迎え時の会話の質が上がった
【働き方改革】
・記録など事務作業が軽減され子供に関わる時間が増えた
・印刷の手間が省かれ効率的になった
・欠席連絡の電話がなくなり保育に集中できるようになった
・園全体の欠席・遅刻が共有でき、その日の保育活動に活かすことができるようになった
【執筆者コメント】
保育の業界で継続的に問題視されている、保育士不足。また、保育士の長時間労働も見過ごせない課題になっているのではないでしょうか。
今回の記事のような「保育の質向上」「保育士の業務改善」の動きは、このような課題解決のための保育DXと捉えることができ、注目すべき取り組みであると考えます。特に本取り組みの興味深い点として、IT関連が得意な「現場スタッフ」を推進役に任命していることをあげたいと思います。
例えば、コドモン社のスタッフを派遣してもらうこともできると思いますが、既存のスタッフが中心となってICTを活用したDXを推進していく形をとっているようなので、何かスタッフに向けたリスキリングのような教育を行っているのか気になります。記事内には、「各スタッフの得意な領域をいかし、個性を尊重したもの」と記載されていました。
親会社のベネッセホールディングスでは、グループのDX推進部門を設立し、社内外の専門人材を集結させ各事業へ派遣しているとのこと。デジタル人材を組織的に活用する仕組みが整備されており、各事業での最適なDX推進を可能にしているようです。保育事業にもこのようなデジタル人材の活用が行われているのかもしれません。
また、ベネッセスタイルケアの介護事業部門では、介護DXとして「マジ神AIソリューション」を活用した取り組みが行われているようです。「マジ神AIソリューション」は、高い専門性と実践力を持つ介護人材の知見と観点をデータ化したもので、高齢者の生活の質向上を目的として開発が進められています。
このような取り組みを参考例として、保育のDXの具体的な取り組みも出てくるのではないでしょうか。ICT活用による保育に関する業務効率化が、スタッフの子供と接する時間の創出に繋がり、保育の質向上だけでなく、業界全体の、保育士の労働時間改善・保育士増加などに繋がっていくと期待ができます。今後も本記事のような保育業界の挑戦に注目していきたいと思います。
執筆者/
リビルダーズ編集部 甲山 奏子