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株式会社ファナティックは、JR西日本SC開発が運営するショッピングビル「ルクア大阪」に、自社で開発した動画販促ツール「ザッピング」の導入を開始した。
※ザッピングの言葉の意味・・・
テレビのCM中に、視聴者がリモコンでチャンネルをころころと切り替える行為のことを指す。
本ツールを導入することで、既存のWebサイトやアプリ上に気軽に数十秒の短い動画を気軽に投稿できるようになる。動画を同行する際にはスマホやタブレットなどのデジタル端末1台あれば可能で、動画には色付きの文字を載せたり、任意のURLを設定したり自由度の高い動画の作成が可能だ。さながらTikTok(若年層を中心に世界中で利用されている動画投稿アプリ)を思わせる。
今回導入されたルアク大阪での活用方法は、ファッション、雑貨小物、化粧品などのあらゆるショップの動画がずらりと並ぶ。動画をタップすると自動で動画が流れ、興味がない内容ならユーザー自身がスワイプして次の動画に切り替えられて、放っておいても次の動画の再生が自動で始まる。動画をテレビのチャンネルと見立てると、まさしくこの行為自体がザッピングというわけだ。
興味がある動画に巡り会えたら、画面をタップすることでショップのWebページを閲覧することができるので詳細情報を知ることができ、商品をWeb上もしくは店頭に赴くというユーザー側の行動を促すツールとして注目が集まっている。
その成果について全導入企業の平均で、1投稿あたりの売上が静止画の3.5倍、成約率+30%となっており、ユーザーの平均滞在時間も+20%と導入コストを十分ペイできるだけの効果が出ているということだ。ファナティック社はこの動画販促ツール「ザッピング」によって、あらゆる分野のユーザーに「嬉しい偶然の出会い」を提供していきたいとしている。
【執筆者コメント】
コロナを契機に小売業界では「オンラインで如何に商品を売るか」に頭を捻らせてきたように見えるが、ここ最近になって「オンラインとオフラインを融合させる戦略(※)」が目立ってきているように思える。
(※)・・・マーケティング業界ではOMO(Online Merges with Offlineの略で、オンラインをオフラインと融合するという意味)という。
本記事で紹介したザッピングもそのOMOの事例であり、各ショップが商品の魅力を動画で伝えることにとり、顧客が店舗に足を運びたくなるという流れを生んでいる。オンラインがオフラインを引き立てる役割をになっているのが特徴的だ。
従来のオンラインショッピングは静止画が主役であったが、衣類やファッション小物のカテゴリーにおいては、着用イメージの立体感を顧客に伝えることが苦手であった。ある種、日本のEC利用率が低いこと(日本のEC化率はわずか6%)の一番の原因は、情報不足にあったのかもしれないとすら思えてくる。
【参考記事】「オンラインから人はいなくなるのか?」
特に「衣類・ファッション小物」の分野においては実店舗購入する割合が46%、オンライン購入する割合が13%というアンケート結果も出ており、その裏付けとして顧客は商品を手に取り商品の立体的な情報を知りたいのだと考えることもできるのではないか。
【参考記事】「ネオマーケティング社アンケート結果について」
ザッピングによる動画配信は、商品に興味を持っている顕在層へは魅力度を上げることにつながり、潜在層には偶然の出会いによりリーチできるという2つの側面をもち合わせているので、企業側のメリットは大きい。さらに顧客データと販売データを紐付ければ、WebサイトやEメールで顧客の好みに合わせた訴求をすることも可能が。
今後OMOというマーケティング手法を活用し、企業がどのような成長を遂げるかは引き続きチェックしていきたい。
執筆者/
リビルダーズ編集部