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ゲッティイメージズ社「Generative AI by Getty Images」が公開!収益をカメラマンへ分配する方針

情報発信元:https://www.gettyimages.co.jp/ai/%E7%94%9F%E6%88%90/%E8%A9%B3%E7%B4%B0
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【概要】

アメリカの写真·映像販売大手であるゲッティイメージズ社は、自社が著作権を持つ画像を学習素材として使用する独自の画像生成人工知能(AI)サービス「Generative AI by Getty Images」の提供を開始しました。このサービスにより、著作権に関する心配をせずに、商用目的での画像利用が可能となります。

ゲッティイメージズ社は、5億を超える画像と動画の膨大なコレクションを保有しており、その中から選ばれた数百万のコンテンツを基に、AIが新たな画像を生成します。この方法により、インターネット上の不特定多数の情報を学習する他の生成AIと異なり、利用する企業は著作権侵害の心配なく、特に広告などの分野での利用が容易になると考えられています。

サービスの価格設定は、契約期間や利用頻度に応じて行われ、現在は英語での利用が可能です。今後、対応言語の拡大も予定されています。

ゲッティイメージズ社は、プロのカメラマンによって撮影された高品質な写真を多く保有することを強みとしており、AIによって生成された画像と実際の写真を区別するために、独自のウォーターマークを画像に埋め込むことにしています。また、生成された画像は同社のライブラリーには追加されず、AIの学習にも使用されません。

さらに、ゲッティイメージズ社は、AIサービスによって生成された画像の収益の一部を、そのトレーニングデータとして使用された写真を撮影した契約カメラマンに配分するという方針を取っています。これにより、契約カメラマンが従来通り写真を提供する動機は変わらないとされています。

同社は、この新しいサービスが短期的な収益向上に直接つながるとは考えていないものの、「長期的な競争の上で非常に有利なサービスになる」との見解を示しています。他の企業も同様のサービスを提供している中、ゲッティイメージズ社は、自社のサービスがクリエーターに適切な補償を支払う点で差別化を図っているとしています。


【執筆者コメント】

これまでもAdobe社やStability AI社等が自社コンテンツのみを学習させ商業利用可能な画像生成AIサービスを展開してきていましたが、映像販売大手であるゲッティイメージズ社もついに画像生成AIサービスに参入してきましたね。

今回のゲッティイメージズ社のサービスでも、他社同様にこれまで積み上げてきた自社コンテンツを生成AIに学習させており、学習元の著作権が明らかになっています。

特に同社のサービスで興味深く感じたのは、このAIサービスによって生成された画像の収益の一部を「そのトレーニングデータとして使用された写真を撮影した契約カメラマンに分配するという方針」をとっている点です。

実際にはどのように収益の分配が行われるのか詳細は開示されていませんが、これまでの生成AI分野で問題視されていた「アーティストの権利保護」という観点において前向きな取り組みとなるのではないでしょうか。

今後は、画像生成AIに提供するための写真や映像、イラスト 等を作成するアーティストが出てきたりするかもしれません。

執筆者/
リビルダーズ編集部 丹治 秀人

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