情報発信元:https://japan.zdnet.com/article/35202949/
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21日、フューチャー株式会社は、日刊工業新聞社のDXコンサルティングの一環として、利用者1人ひとりに提供する情報やサービスの最適化のための共通ID基盤「日刊工ID」を2022年12月に構築したと発表しました。さらに、2023年3月には、日刊工IDポータルと、「日刊工業新聞電子版」「TREK!」など全6サービスのシステム連携が完了したとのことです。
フューチャーは、2020年より日刊工業新聞社のIT戦略パートナーとして、ビジネスモデル変革を支援しています。
そのなかで日刊工は、フューチャー開発の「GlyphFeeds」を導入し、記事や写真などのコンテンツを統合管理する仕組みを整備、コンテンツを紙面・電子版・ニュースサイトなどの媒体に素早く横展開しつつ、コンテンツを商品化することに成功しました。現在はコンテンツマーケット「TREK!」による新しい収益もモデルを確立しているようです。
今回のプロジェクトでは、従来サービスごとに設けられていた会員登録作業をなくし、日刊工IDで様々なサービスを利用できるような仕組みをつくります。利用者は「日刊工IDポータル」を介して各種サービスを利用できます。このポータルサイトと、ID管理・認証・顧客データの蓄積を担うサービス基盤の整備を行うことで、利用者の利便性向上に繋がるほか、顧客データの一元管理ができるため、利用者に提供する情報、サービスの最適化が見込めます。
また、プロジェクトの構想から開発、実装までフューチャーで一貫して行った結果、高品質かつ、11か月という短期間で基盤構築を実現したといいます。
以下、日刊工業新聞社執行役員デジタル事業・DX担当の明豊氏コメント。
「当社は『産業情報で未来をよくするプラットフォーマーになる』をミッションとして、DXに強く取り組んでいる。フューチャーには当初から経営・業務・システムの視点で伴走してもらうことで、共に描いたデジタル戦略が業務とシステムに着実に反映され始めていると実感している。今回の日刊工IDでは、利用者の皆さまの利便性が向上するとともに、個々のニーズを捉えた新たな提案ができる土台が整備された。今後も、当社の強みである産業情報を多くの方々に活用いただける取り組みを進めていく」
日刊工業新聞社、共通ID基盤導入--パーソナライズされた情報提供図る - ZDNET Japan
【執筆者コメント】
共通IDの導入は、各新聞社がDXで取り組んでいることの一つに必ず入ってくるのではないでしょうか。
様々なサービスをローンチしても、利用者はID一つで便利に利用できるということで、ユーザー体験の向上もはかれますし、新聞社側も、顧客データが一つのデータ基盤に紐づけられるので、利用者1人ひとりに合わせたサービス提供を行うことができます。
まさにDX時代で活躍するプラットフォーマーとして、日刊工は変革を続けているようです。
新聞社につきまとう課題として、一番はやはり「新聞離れ」ではないでしょうか。
日本新聞協会が2022年12月に発表したデータでは、一般紙の総発行部数は2800万部台まで落ち込み、直近5年間で1000万部減少、毎年200万部ずつ減っている計算になります。この結果は誰もが実感しているところだとは思いますが、このまま減少が続けば15年後には紙の新聞が消える勢いだそうです。少しびっくりですよね。
つまり、各新聞社にとって、新聞紙発行ビジネスの穴埋めをすることは生き残りをかけた重要な課題だということです。
だからこそ、最もDX推進でのビジネス変革が求められる業界のひとつだと言えるでしょう。
日刊工業新聞社は産業情報で未来を良くしたいという想いを持っています。産業情報を誰にどのタイミングでどうやって届けるか、それらの最適化をDXを通して行うことが重要ではないかと考えます。
今後、日刊工業新聞社が、日刊工IDポータルを通してユーザーと接点を持ち、ユーザーの基本データや行動履歴を活用して、一人ひとりの状況にあわせた良質な営業を行うことに期待したいです。
また、多くの新聞社がDX推進で共通ID基盤を構築するなかで、他との差別化をどのように行っていくのかについても注目していきたいと思います。
参考資料:
産業情報の「プラットフォーマー」を目指す
1年で200万部減「新聞離れ」は止まらず 「一般紙」は15年後に消える勢い(亀松太郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
執筆者/
リビルダーズ編集部 甲山 奏子