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キヤノンマーケティングジャパン、経理DXを支援するサービスを提供開始

情報発信元:https://canon.jp/corporate/newsrelease/2023/2023-04/pr-dwaccel-bill
(※外部サイト「キヤノンマーケティングジャパングループ」を別ウィンドウで開きます)

2023年4月10日、キヤノンマーケティングジャパン株式会社は「DigitalWork Accelerator請求書受取サービス」の提供を5月10日より開始することを発表しました。

キヤノンが提供しているクラウドサービス「DigitalWork Accelerator」は、電子帳簿保存法に対する対応と業務プロセスの改革を進めるためのものです。業務効率化に特化した業務別サービスや、業種に合わせたプロセスに対応する業種別サービス、電子帳簿保存法に対応するための電子取引管理サービスなど、様々なサービスを展開する予定でDigitalWork Acceleratorシリーズがリリースされました。

第一弾として2022年12月より電子取引管理サービスが提供開始となりましたが、今回は新サービスとして、請求書受取サービスを提供開始します。

請求書受取サービスは、郵送やメールでやり取りをしていた請求書をオンラインで受領することができるサービスです。これにより、インボイス制度と電子帳簿保存法に対応することができ、請求書の受け取りに関して効率化が可能になります。

インボイス制度において、適格請求書発行事業者の確認、税率ごとに決定される税額など必要項目があります。それらが記載されているかを自動で確認し、支払処理データを会計システムに連携することによって、請求書に関する業務を効率化させることができます。

既にリリースされている、電子取引管理サービスと連携することができ、契約に関する書類を一元管理することができるようになります。一元管理によって、営業部門と速やかな共有が可能となる他、案件ごとに書類を検索することも容易になります。  同社は2027年までに、DigitalWork Acceleratorシリーズを300社に導入し、50億円の売上をたてることを目指しています。今後は部門に特化した業務支援アプリケーションや、業界に特化したサービスと連携させることで、プラットフォーム拡大を目指していきます。

【執筆者コメント】
今回は、キヤノンマーケティングジャパンの経理部門の業務効率化サービスに注目しました。対応が急務となっている、電子帳簿保存法とインボイス制度についてカバーしたサービスであり、今後も同様のクラウドサービスを導入する企業が増えると予想されます。

電子帳簿保存法の改正については、もともとエビデンスは紙で残しておくべきだ、という考え方から180度変わるものです。もともとの電子帳簿保存法は、任意で電子保存を認める内容だったのですが、改正により義務となります。2023年中は、従来通り紙で保存しておくことも認められていますが、2024年からは電子取引の対応が必要になるため、まだ対応できていない企業は緊急の対応を迫られるでしょう。

そしてインボイス制度は2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として開始されます。インボイスとは、販売先に対して、税率と税額を正しく伝達するために必要事項を記載した請求書等のことです。インボイス制度開始後は、消費税の納付を行う際に、仕入税額控除を行うためにインボイスが必ず必要になります。正確な消費税額と消費税率を把握するために導入される制度です。

財務や経理などのデジタル化が進まない日本において、電子帳簿保存法の改正とインボイス制度は半強制的なデジタル化イベントです。国税庁や税務署もデジタル化やIT化を進める方針を立てており、今後も制度の変更等が起こる可能性は大いにあるでしょう。

そのような状況で、インボイス制度の対応ができるシステムや、電子帳簿保存法に対応するためのサービスなどが多くリリースされています。弥生やマネーフォワード、freeeなどの企業が、同様の電子帳簿保存法やインボイス制度対応のクラウドサービスを提供しています。

今回発表した「DigitalWork Accelerator 請求書受取サービス」は、初期費用が10万円、運用のための費用が年額30万円からとなっています。昨年サービスを開始した「DigitalWorkAccelerator電子取引管理サービス」は、初期費用として30万円、運営のための費用が年額96万円からとなっています。料金面やサービス内容はばらつきはありますが、競合が多くいる中でのサービス開始ということになりそうです。

キヤノンはこれまで、伝票や契約書類などの紙を電子利用できるシステム「Report Shelter」や、帳票設計からPDF作成環境の提供までが可能な「imageWARE Form Manager Version 9」など様々なソリューションを提供しているのは、新興のサービスには無いメリットです。今回リリースされた、請求書受取サービスとは親和性が高いものが多く、サービスのセット買いが起こりやすいと言えるでしょう。

先日執筆した記事(https://rebuilders.jp/dx-news-20230311/)のように、一つの企業で様々なソリューションを繋ぎ合わせることで、トータルサポートが完成する企業が増えてきています。今後キヤノンマーケティングジャパンがどのようなソリューションを開発していくかに注目です。

執筆者/
リビルダーズ編集部 橋爪 勝万

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