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すかいらーくも採用の配膳ロボット、全国に3250台導入

情報発信元:https://dfarobotics.com/topics/p7xofy5_k/
(別サイト「株式会社DFA Robotics」を開きます。)

2023年1月20日、株式会社DFA Roboticsは、ネコ型配膳ロボットのBellaBotを全国に3250台導入したと発表しました。同社はロボット活用の幅を拡大し、飲食をはじめとしたさまざまな業界でのDX推進を支援している企業です。

飲食業界は、昨今の人口減少やコロナ禍により、労働者の確保が困難となっています。BellaBotは配膳や接客において非接触で人の代わりを担うことができます。また40kgの料理を4か所に一気に配膳できるなど、業務効率の向上や労働力不足の問題を解決します。

配膳時間を短縮するような効率向上につながる実績も出ている一方で、表情の変化や音声による案内が可能になるため、無機質にならないサービス提供が可能です。

同社は2021年11月から2022年12月までの1年ほどの間に、全国2300店舗に3000台を導入しました。その背景として、ロボットの設置サポートからトラブル対応までを担う協業先を確保したこと、店舗へのサポート拠点をつくりあげたことが挙げられます。

同社の今後の展望としては、人口減少、高齢化という社会の流れに対し、ロボットで解決策を提供し、さまざまな業界DX推進の第一歩としていきます。

【執筆者コメント】
今回はBellaBotという配膳ロボットの導入実績発表を取り上げました。「DX時代」における人の役割を考えさせられる発表だと考えます。

これまで3250台の導入がなされてきたロボットですが、すかいらーくによれば2022年中に3000台の導入を完了させたとのことでしたので、導入先の大半がすかいらーくの店舗ということになります。

DFA Robotics社が2022年10月に公開した社員インタビューにおいて、同社の運命を大きく変える出来事がすかいらーくグループからの依頼であったことが語られています。すかいらーくはDXの一歩目として配膳ロボットに着目しており、ニーズを発見できたことが同社の躍進の要因と言えるでしょう。

一方でインタビューには、すかいらーくとの契約前の飲食店への販売が難しかった過去も記載されています。その中で特に印象的な内容は、「自分たちの仕事が奪われるのではないか」という疑念が大きかったという点です。DFA Robotics社にとっては、人の仕事を奪うことではなく、人とロボット両方の持ち味を生かして良いサービスを生み出すことを目的とした販売でしたが、上手く伝わらなかったことがかかれています。

導入したすかいらーくによれば、1日あたり1時間、生産性向上がなされており、店舗の生産性を向上させているとのことです。客との不必要なトラブルも回避できることから、従業員のストレス軽減にも役立つというメリットもあります。またSNSではDFA Roboticsによって「ネコ型配膳ロボットのべラボット」とうアカウントが作られ、3500人以上のフォロワーを獲得しており、投稿に対し複数リプライがあるなど愛されている様子が伝わってきます。

結果として、すかいらーくの配膳ロボット導入はプラスの作用が大きいように見受けられる一方、「自分たちの仕事が奪われるのではないか」という懸念が生まれるのも当然です。そこでITを用いて業務効率や生産性を高める施策を検討する際に注意すべきことは、「共生」だと考えます。人がするべき仕事、ロボットに任せるべき仕事を検討し、ロボットに任せた分余った人の工数を、人がすべき仕事に充てることが重要です。

多くの仕事が時代の移り変わりとともに無くなり、生まれてきました。昨今のDXを進める動きも、仕事を奪うことにつながります。そこで、仕事を奪われるという思考ではなく、仕事を託す、その分で別の仕事を担うという発想になれるかどうかが、DX時代においては重要だといえるでしょう。

執筆者/
リビルダーズ編集部 橋爪 勝万

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