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IWIとPKSHA、カード発行会社間で不正データシェアリングを初実現する「FARIS スコアリングサービス powered by PKSHA Security」を共同開発

情報発信元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000022705.html
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株式会社インテリジェント ウェイブと株式会社PKSHA Technologyは、カード不正利用データをシェアリングすることにより不正を防止できる「FARIS 共同スコアリングサービス Powered by PKSHA Security」を共同開発したことを発表した。

FARIS 共同スコアリングサービス開発の背景

クレジットカード不正利用による被害は年々増え続けており、日本クレジット協会の調査(※1)によると、不正利用額は2022年1-6月の期間で206億円と、過去最悪を記録した2021年の年間不正利用額330億円と比べても加速度的に増加している。

近年多発しているカード不正に対して、各取引に点数を付与し、評価することで不審な取引を検知する「スコアリング」方式を活用するカード会社が増えている。

これまでもスコアリングをはじめとするカード不正利用対策はカード会社ごとに行われてきた。しかしながら、この対策では各社で検知した不正手口しか学習することができず、年々巧妙化する不正の手口に対し限界がある。

そのため、カードの不正利用という犯罪には、カード業界全体が一丸となって対策をすることが不可欠となっている。

そうした背景から、カード不正手口に関する企業間でのデータシェアリングによる不正防止を実現するサービスの共同開発によって、キャッシュレスが浸透するこの社会で、カード不正利用対策をより一層推進・強化していくことを決定した。

このサービスで実現できること

  • 不正データシェアリングを用いた被害の防止

今まで、各社それぞれで対応していた新たな不正手口をこのサービスを導入することにより企業間で共有ができる。そして、導入企業全体でより多くのカード不正利用の被害を防ぐことが可能となる。

  • 導入社数の増加に伴う、カード不正の検知精度の向上

共同スコアリングによって、他社で獲得した不正データも自社の対策強化のための情報として学習が可能となっているため、導入企業の増加に伴って不正利用の検知精度が向上していくサービスとなっている。

  • スコアリングシステム分析担当者の負荷軽減

AIモデルを利用するスコアリングでは、精度・品質維持のためにAI分析の工程が必要となる。このサービスでは、スコアリング分析業務をIWIが実施するため、それらの分析にかかっていた担当者の負荷を軽減することが可能だ。

(※1)一般社団法人クレジット協会|クレジットカード不正利用被害の発生状況

【執筆者コメント】
今回は、AIモデルを活用したカード不正利用を防止するDXの例をご紹介いたしました。

一般社団法人クレジット協会の調査によると、クレジットカード番号が盗用されることによる被害額がここ数年で急激に増加しており、2021年時点で約312億円の被害が出ているようです。

また、この急増の背景として、以下の2点が経済産業省の調査(※2)によって示されています。
①国内キャッシュレス決済額・比率の順調な増加(うちクレジットカード取引は9割)
②EC決済サービスの伸長に伴う、消費者のクレジットカード番号の入力機会増加

特に、消費者を狙ったフィッシング(※3)の報告件数が増えており、2021年度では53万件の被害報告が確認されています。

実際にこれらのようなカードの不正利用が起きた場合、必要要件を満たしていればカード会社が補填してくれるといったケースも多いです。それ故に、不正利用を未然に防ぐことができるこのサービスはカード会社にとって、喉から手が出るほどのソリューションだといえるでしょう。

現在、日本全体で2億9,531万枚のクレジットカードが発行されています。それらの莫大な利用データを各カード会社でシェアリングすることで、より精度の高い不正検知ソリューションとなっていきます。完全に無くすことは難しいと思われますが、このサービスの導入によって今後どのくらい被害者が減っていくのか、期待です。

(※2)経済産業省|クレジットカードシステムのセキュリティ対策のさらなる強化に向けた方向性 第1.1版
(※3)フィッシングとは・・・メールやSMSを通じて、個人情報等(クレジットカード番号を含む)をだまし取ること

執筆者/
リビルダーズ編集部  城間 礼音

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