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SF漫画『攻殻機動隊』をVRと“能”で表現する舞台が開催

情報発信元:https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2210/16/news046.html
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11月4日に東京豊洲にて、最先端技術と芸術を組み合わせたクリエイターたちの研究発表会「自在化コレクション」が開催される。自在化コレクションとは、現実と仮想空間(メタバース)を結ぶ仕組みを開発するための「自在化身体論」に関する研究成果を発表する場だ。

自在化身体論をざっくり説明すると、機械にとって拡張された機能や能力を、人があたかも自分の身体の一部であるかのように扱える状態のことを「自在化」といい、これが我々人間にとってどんな意味や価値を成すのかという問題について迫る論のことを言う。

今回、この発表会にSF漫画として国内外のクリエイターたちに大きな影響を与えてきた「攻殻機動隊」の舞台が披露されるということだ。テーマは日本の伝統芸能である“能”だ。それをVRを使って攻殻機動隊の世界を表現するという。

この舞台はVRゴーグルを使用せずに仮想現実を体験できると言うもので、作中でお馴染みの光学迷彩(光の屈折率が0の状態を再現する特殊技術のことで、そこの存在しているはずの人間が目視できなくなり「透明人間」になることができる)

本舞台を手掛けるスタッフ陣は、演出は奥秀太郎氏(舞台「攻殻機動隊ARISE」演出担当)、脚本は藤咲淳一氏(「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」、「BLOOD」シリーズで脚本担当)。そして映像技術を担当するスタッフの一人として、VR研究の第一人者である東京大学教授の稲見昌彦氏の名前もある。出演陣には、能楽師の坂口貴信氏を迎えるなど豪華な顔ぶれとなっている。

【執筆者コメント】
今回注目したいのは、VR能はゴーグル(メガネやヘッドマウンドディスプレイ等も含め)なしで楽しめるコンテンツだと言うことだ。ここ2~3年でアミューズメント施設を中心に進化してきているなあと感じるのは、ゴーグルなしで異世界にいるかのような体験ができるコンテンツが現れ始めてきていることだ。

従来であればゴーグルをつけることで「人間が仮想現実側に行く」と言うベクトルだったのだが、今回のVR能はそのベクトルが真逆になって「仮想現実が人間側の世界に来る」と言った形だろう。たとえ「攻殻機動隊」の漫画の内容を知らなくても、この体験をできるだけで十分チケット代の元は取れると思う。

VR能のようにゴーグルなしで仮想現実を楽しめる筆頭として、ディズニーのことを語らないわけにはいかない。東京ディズニーランドにある最新アトラクション「美女と野獣」はぜひ体験してほしい。ネタバレになるので詳しくは書けないが、野獣が人間に戻るシーンはまさしく仮想現実を目の当たりにすることができる。カラクリを明かしてやろうと何度アトラクションに乗ってもタネがわからないのだ。目の前で本当に野獣の人形が人間に変身するのだ。私が最初にこのシーンを見たとき、おそらく人生で最大の瞬間を目のあたりにして、そうまさしく「感動体験」だった。

ゴーグルなしのアトラクション自体は世界的にも希少で、主流はやはりゴーグルありで体験するタイプだ。しかしゴーグルありの場合に懸念されるのは「VR酔い(ヴァーチャル酔い)」だ。何を隠そう筆者も酔う。2019年のマクロミル社の調査結果ではVR体験に不満があると答えた層が15%いて、その不満の理由の最たるものが「VR酔い」と言うことだ。
(参考)「VR体験の満足度は「85%」 マクロミルが意識調査を発表」

VR酔いの正体は「脳と身体の同期ズレ」だ。体は移動していないのに、脳は目の前の風景を見ながら移動していると感じることで、体と脳の間でズレが生じる。これにより三半規管を介して脳が混乱し気分が悪くなる。今後、ゴーグルなしでも楽しめるVRコンテンツが増えていくことで、三半規管弱者でもVRコンテンツを楽しめる世界になっていってほしいものだ。

執筆者/
リビルダーズ編集部 木城 秀人

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