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レンタカー業の人材不足解消のため、AIによる予約&配車システムを活用した新事業がスタート

情報発信元:https://www.fnn.jp/articles/-/427856
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沖縄県那覇市でシステム開発を手がける株式会社KAFLIX CLOUDが、レンタカーの予約から配車までの手続きをAIにより無人化・省人化を実現するシステムを開発し、沖縄県でレンタカー業を営むスカイレンタリース株式会社と契約を締結した。

スカイレンタリース社では、従業員の半分はアルバイトや契約社員であり、コロナ禍においては繁忙期はPCR検査場に人手が流れてしまい深刻な人材不足に悩まされている。今回KAFLIX CLOUD社が開発したシステムを導入することでその課題を解消する狙いだ。

同システムを導入後は、店舗には電子端末のみを設置し、顧客がセルフレジ感覚で操作をするだけで車の貸出し手続きが完了する。顧客の身分証のチェックは端末を通じて実施し、借りる車体の傷のチェック等の確認作業もすべてセルフになる。こうすることで店舗に常時スタッフが在席する必要はなくなり、文字通り無人化が実現する。

KAFLIX CLOUD社によると、同システム導入により出発前の手続きにかかった時間は15分から3分へ短縮が実現するという。今後はインバウンドの調子も戻ってくることも予想し、本年11月から本格始動する予定だ。

【執筆者コメント】
日本の入国制限が緩和されて以来、都内に外国人旅行客の姿を見ることが多くなってきた。最近当メディアでも取り上げる観光業界もDXに乗り出し、きたる業界の復活に向けてアクセスをかけようという雰囲気だ。今回取り上げたスカイレンタリース社ももれなくその一員であり、国内外の旅行客の需要に応えるべく、DXで無人・省人化実現に向けて舵を切ったのは賢明な判断と感じる。むしろ個人的にはやっとかという印象を受けたが、スカイレンタリース社を取り巻く環境が故に動きたくても動き出せなかった事情もあるのだろう。

レンタカーもカーシェアも借り辛い沖縄の実情

筆者が沖縄に行くたびに思うのは、沖縄はカーシェア大手たちが切り込んできていない領域だということだ。筆者は若いころはトヨタレンタカーのヘビーユーザーであったが、2019年あたりから頭角を表し始めたタイムズカーシェアに乗り換えた。なんとっても24時間、スマホさえあれば車を借りれるという利便性にかなうものはないからだ。カーシャアの利用人口は増加傾向を維持しており、2022年で263万人まで増えているが、、、沖縄(離島含む)には貸出しステーションが少ない!

沖縄はまだまだ従来のレンタカー会社がシェアを握っている状況だが、コロナ禍で一気に人材難に足元をすくわれ繁忙時の対応が追いつかない状況になっている。事実、繁忙期にレンタカーを探し回っていた際に直接スタッフから聞いた話だが、スタッフの人手不足で例年よりも予約枠が少ないという話も聞いた。もしこの時に窓口業務がデジタル化されて無人化であったのなら、私も大変な思いはしなかったとしみじみ思う。

大手カーシェア会社たちが手を出せていない「外国人観光客」という市場

予約から配車までの業務を全てデジタル化できれば、窓口業務にあたっていた人手を車のメンテやステーションへの車の移動等にあてることができるので、スカイレンタリース社からすればグッと運営効率が上がることになる。

既存のタイムズカーシェアやカレコなどのカーシェア大手たちはすでに予約から配車までをデジタルに置き換える運用することに成功しているので、スカイレンタリース社のデジタル化もすぐに波には乗るだろうと思う。それよりも重要な話としてはカーシェア大手が手を出していない「外国人観光客」の需要を一気に取れる可能性があるという点だ。

カーシェア大手たちは外国人でも利用することが可能だが、実は「外国人観光客」は利用することができない。貸し出しステーションには車のみが置かれているだけだ。外国人観光客の取り込みという点では、KAFLIX CLOUD社が開発したタッチ式情報端末を操作することで、人を介さずに車を借りれる本サービスは他社と差別化されているため有利だ。

レンタカー業界もカーシェア業界も、共に成長している業界

日本では都心部を中心に車の維持費を嫌う消費者が増え続けており、この状況が追い風となりレンタカー業界もカーシェア業界も全体的に成長が続いている。日本人のマイカーに対する意識の変化に関する調査結果からも、2000年代に入ってからは乗用車の保有台数は減少を続けており消費者の意識がコストパフォーマンス重視に変わってきていることが見えてくる。

この追い風の中で一番の勝者はタイムズカーシェアと言っても良いだろう。タイムズカーシェアはここ数年で一気にステーションを設置し全国をカバーした。ステーション数の増加と比例するように業績も伸び、今や運営母体であるパーク24グループの柱となる事業にまで成長を遂げている。業界に追い風が吹く中で、スカイレンタリース社も今回のDXをキッカケとして事業を軌道に乗せられるか正念場になるだろう。

(参考データ)富士経済によるカーシェア市場の調査結果
(参考データ)「乗用車は3918.2万台…主要車種別の自動車保有台数をさぐる(2021年版)」
(参考データ)「【車の普及率】都道府県別に比較すると現代日本の課題を反映?」

執筆者/
リビルダーズ編集部 木城 秀人

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