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岸田総理がスマート農業の現場を視察、もがく日本の農業

情報発信元:首相官邸Twitter
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岸田総理が新潟市秋葉区のスマート農業(※1)が行われている現場に訪問。スマート農業で最前線で活躍が期待されている無人トラクターやドローンをはじめ、ビニールハウス栽培の自動水管理システムなどのデジタル技術を視察した。さらに岸田総理は、スマート農業の活用により生産経験のない野菜にチャレンジしている経営者の話を聞くなどして、スマート農業に取り組む事業者の生の声に耳を傾けた。

(※1)スマート農業とは・・・最先端技術やロボット技術を使って農業を省力化し、さらに品質を高めることを目的とした新しい農業のこと。

岸田総理の経済政策の柱としてスマート農業に注目が集まる

今回、岸田総理が視察した背景には、今年度掲げている経済政策の柱「デジタル田園都市国家構想(※2)」の具体策として、スマート農業の推進に注力しているからに他ならない。

(※2)デジタル田園都市国家構想とは・・・デジタル技術や技術を活用することによって、地方と都市部の格差を埋めていくことを目的として岸田総理が掲げた構想のこと。

政府のスマート農業推進の進捗について農林水産省が公表したレポートにその全容が記されている。

高齢化・人手不足でもがく日本の農業

2022年6月に農林水産省が公表したレポート(※農林水産省スマート農業)によると、農業従事者の人口は昭和35年(1,175万人)から毎年減少しており、2022年は10分の1の136万人まで減少。136万人のうち半数は60歳以上という高齢化が進んでいる業界だ。

農業業界では若い世代の流入が少なく、根本的に労働力が足りない。加えて、農業の現状は依然として人の手に頼る作業が多く、中でも悩ましいのは熟練者の経験や勘が頼りの作業が多いことだ。この現状では、新規参入も困難で、いつまでたったも人手不足は解消の兆しが見えないということで、注目されているのがロボット、IoT、AIなどの最先端技術を組み合わせた「スマート農業」というわけだ。

スマート農業への取り組みはまだまだ始まったばかりだが、産学官連携をするなどして、ロボットトラクター(自動農業機械)やドローンによる農作物の成長管理など、次々と新しい技術の運用がスタートしてきている。これら技術の導入事例は全国においてもまだ数えるほどではあるが、着実にその成果が検証されてきており今後あらゆる農場で導入されることで国全体の生産力が上がることが期待されている。

【執筆者コメント】
スマート農業は岸田総理が注力する政策の1つではあるが、理想とする姿になるまではまだ時間やかかりそうな印象を受けた。以前、当メディアで取り上げた漁業における水産庁の取り組みにおいても、やはりネックは若い世代の労働力不足だったが、それは農業においても全く同じだと考えられる。
【参考記事】「変わる漁業、水産庁がデジタル人材と漁村をマッチング」

最近では個人ではなく法人で農業分野に参入する企業(@farm)もちらほら聞くようになってきたので、そこから新たな若い世代の雇用が生まれたりなど、良いモデルケースも確かに存在するのでそのような新規参入企業が増えるように、政府はさらに支援策を検討したらどうかと思った。

今回調査していく上で驚いたのが、農業機械や設備の導入コストである。ヤンマー社の自動走行トラクターは1台1000万円以上であったり、設備や土地代、肥料など諸々含めると初期費用が数千万円〜億単位となることが珍しくない業界なので、高額な機械や設備などのコスト面のサポートを国がどこまで支援するかによって今後の参入企業の伸びが変わってきそうである。

また現在の原油価格高騰や円安の影響により、農業用の資材の値上げが相次ぎ、既存農家は大きな打撃を受けている中で、最新設備の導入は億劫になるのは予想がしやすい。農業者からの生の声にも、「市町村間で農業機械をシェアする前提での導入を検討したい」「サブスクリプション型(定額利用料金によるサービス契約)での導入を検討したい」などといった費用面に対してシビアな意見がみられた。

農業経営が効率化することでそれに従事する若い人流も生まれてくるので、引き続き国支援策については注目していきたい。

執筆者/
リビルダーズ編集部 木城 秀人

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