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ゴルフ場を仕事場に、ゴルファーケーションが登場

情報発信元:https://www.fnn.jp/articles/-/401302
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福島県の県南地方振興局(※福島県の県南地域を管轄する福島県自治体の支部のこと)は、県内の4つのゴルフ場と連携し、ゴルフを楽しみつつ併設の宿泊施設内で仕事もできる「ゴルファーケーション」を官民一体となり本格的にプロジェクト推進をスタートしたと発表した。

狙いは交流人口の拡大

福島県は東日本大震災の後、教育旅行が大幅に減少していた。その後、復興へ向けて順調に歩み始め県外からの人の流れが戻ろうとしていた矢先に、次はコロナウイルスが猛威を振るった。緊急事態宣言を皮切りに、他県への移動が阻まれると一気に交流人口(※県外から訪れる人の数のこと)は減ることは予想しやすい。

この状況を改善すべく、利用客獲得が目下の課題であるゴルフ場と、交流人口の課題感をもつ官民が一緒になり、時流にあったワークスタイルであるワーケーションをヒントに、本サービスの本格始動に乗りだした。

ゴルファーケーションにかかる費用の3/4を福島県が補助!

驚きなのが自治体の補助制度の手厚さだ。なんと3/4を福島県が負担するという。補助対象は宿泊費、レンタカー代、交通費、施設利用料だ。
【補助制度の詳細についてはこちら】 https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/11025b/teleworkijuhojo.html

回数に制限はあるものの、短期間の体験であれば同一年度内に2回まで補助が効く。ゴルファーケーションという新しい体験を味わうには十分だろう。ターゲット顧客は、ゴルフを嗜む人はもちろんのこと、ゴルフを趣味として始めようとしている層などになってくる。

天然温泉+3食付き+1.5R+ワーキングスペース=1万7500円

1泊2日の料金は1万7500円とかなり低く抑えられている。相場的にはどんなに安くても2万円以上はする印象がある。これでいて福島県の補助制度もあるとなれば、かなりハードルは低く気軽に体験できそうだ。福島県では、2022年の夏休みシーズンも考慮した上で現在PRに力を入れている。

【執筆者コメント】
ワーケーションというといまいち普及していない感覚がありますが、調べたところ観光庁の調査では5%というとても低い状況なのは無視できない。コロナ禍において、テレワークについては国をはじめ各メディアでもさんざん叫ばれてきたが、それでも4割に届いていない状況だ。ここにはやはり日本企業の就業スタイルを変えることに対する腰の重さが透けて見える。

下記に示した観光庁の調査結果から、ワーケーションの認知は6割であるのに対して、導入率が5%と低くとどまっている理由は何なのか。あらためてワーケーションのベネフィットと、ワーケーションが広まっていかない背景として考えられる誤解についても調べてみた。

引用元:観光庁「今年度事業の結果報告」

ワーケーションのベネフィットとは?
ゴルファーケーション利用客の口コミを調査しところ「いつもと違う環境で、仕事の効率やアウトプットの質が上がった」「同じチームメンバーを誘って行ったことで、交流時間が増えチームビルディングを促進した」などと行った声がみられた。そう、まさしくこれこそがワーケーションの醍醐味であって「いつもと違った環境で働くことでリフレッシュしたり、インスピレーションが湧く」というベネフィットがあるのだ。

そもそも人は環境に影響を受けやすい。自宅で勉強や仕事の能率が上がらない場合、「図書館へ行く」「スタバに行く」などやったことがある人も多いのではないだろうか。すると余計な雑念がなくなり、目の前のタスクに対してスッキリとした脳の状態で取り組みやすくなる。そうすることで、パフォーマンスが向上するし、生産性も高まるというわけだ。

それ以外のベネフィットとしては
・ワークライフバランスがコントロールしやすい
・リフレッシュすることで仕事に対する従業員の満足度が上がる
などが挙げられる。

ワーケーションの普及を阻害している誤解とは?
観光庁の別の調査データ(※出典:観光庁「新たな旅のスタイル」に関する実態調査報告書より)では、「会社としてワーケーションを実施していない=58%」「従業員のワーケーションに興味あると答えた興味関心層:28%」となっており、会社がワーケーションに対して乗り気ではないという背景が普及を阻害していることがわかる。

▼誤解1「リモートワークは自宅でできれば十分」
リモートワークを導入している企業の中でも、自宅や特定のワーキングスペース以外では禁止するなど制限を設けている企業も多く、その背景には「機密情報漏えいを危惧するセキュリティ面」「労働時間や仕事の進捗の管理が難しい側面」といった理由があるようだ。

しかし、自宅のみでしかリモートワークを認められていない企業の従業員はパフォーマンスが低下することが最近の調査で明らかになってきている。日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボの調査結果では、テレワークにより生産性が下がったと答えた割合は46%となった。部長レイヤーにおいては10人のうち1人しか生産性が上がったと答えなかった。この結果を踏まえると、場所をオフィスから自宅に変えただけでは十分ではないと言うことがわかってくる。クリアできているのは三密の回避のみで、従業員の生産性が落ちてしまっているのであればそれは企業にとってマイナスでしかない。

▼誤解2「ワーケーションでは生産性は上がらない」
ワーケーションに対する企業の理解が低いこと理由に、そもそも生産性が上がることを疑問視する声が多いようだ。リモートワークに関する研究を長年実施しているハーバード・ビジネススクールのプリスウィラージ・チョードリー教授によると、リモートワークの真価は従業員が「働く場所と時間を選べること」にあるという。従業員がパフォーマンスを発揮できるのであれば、観光地でもよく、働きやすい時間帯で仕事を遂行して成果を上げることができる考察している。それを裏付けるデータも出てきている。

株式会社リアライブによる調査結果(※出典:株式会社リアライブによる「ワーケーション実施前後のアンケート調査」)では、下記のようにとても興味深い結果が出ている。
●ワーケーションで生産性が上がった:61%
●リフレッシュできた:87%
●人間関係の構築ができた:95%
●新しいアイディアが出た:77%

特に注目したいのは、ワーケーション事前アンケートでは「仕事の生産性向上」を期待する声が0%だったことだ。これはワーケーションで生産性が上がらないという先入観を持った人が多いということを裏付けており、そのことでワーケーションの本当の価値を見落としているということになる。これから企業はワーケーションのベネフィットを把握した上で、トライアル的にワーケーションを導入して、従業員の反応を確かることから始めたほうが良いのではないかと考えている。

執筆者/
リビルダーズ編集部 木城 秀人

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