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UX向上を目指すABCマート、ネットとリアルの在庫を1つに

情報発信元:https://www.future.co.jp/architect/press_room/PDF/PressRelease_20220728_ABC-FutureArchitect.pdf
(※外部サイト「フューチャーアーキテクト株式会社 プレスリリース」を別ウィンドウで開きます)

ABCマートのIT戦略パートナーであるフューチャーアーキテクトが以前から計画を進めていた、在庫・顧客管理のシステム刷新の最終施策「店頭デジタルフロントシステム」を導入したと発表した。

その具体的な内容としては、ネットと全国の実店舗の在庫へのアクセスがデジタル端末が1つあれば可能というものだ。今回の導入したのは2タイプのデバイスで、店舗スタップが持ち歩くタブレット端末と、渋谷店の店頭に設置された50インチのタッチ式液晶ディスプレイだ。

今回の施策が狙うUX向上のポイントしては主に2点。

・機会ロスの改善
・接客スタップの提案力の底上げ

機会ロスの改善

店舗に自分のほしいデザインで、かつ自分の足にあうサイズがなければ、当然顧客はまた今度でいいやとなり、機会ロスになってしまう。しかし、E C店舗の在庫を含む全ての在庫の中には、希望の商品がある可能性は十分にある。

そこで今回導入したシステムがあれば、ABCマートの20万点の在庫の中から目当ての商品がどこにあるのかが1発でアクセスが可能だ。もし目当ての在庫がなくても、商品を数日で取り寄せたり、自宅に配送してもらう等といった対応が可能だ。

接客スタッフの提案力の底上げ

来店客の中には、店舗スタッフに相談して靴を選びたいという顧客も多い。そこで本システムは威力を発揮する。タブレットからアクセスできるもう1つの情報に「商品の詳細」がある。

靴の色や質感、ブランド名や形状など顧客の好みが分かれば、20万点の在庫からすぐ検索が可能だ。そこに接客スタッフの専門知識を掛け合わせれば、顧客にとってどんな靴を選択することがベターなのか、提案の質は自ずと上がってくる。



【執筆者コメント】
皆さんは靴を買うときに、どうしているでしょうか?やはり店舗に行く人が圧倒的に多いんじゃないでしょうか。コロナ禍でオフラインから人がいなくなったかのような偏った報道をするメディアも少なくありませんが、日本は世界でも有数のEC化率が低い国であることは、リビルダーズでも調査済です。そう、日本のEC化率はわずか6%というのはご存じでしょうか?
【参考記事】「オンラインから人はいなくなるのか?」

2021年にネオマーケティング社が実施したアンケート調査では「衣類・ファッション小物」をオンラインで購入すると答えたのは13%という一方で、実店舗で購入と答えたのは46%となり、依然としてリアル店舗を構える意義は大きい。
【参考記事】「ネオマーケティング社アンケート結果について」

実店舗を持つ小売店が今後とっていく戦略の軸足は実店舗であると筆者は考えている。その上で、いかにオンラインとリアル店舗を融合して、売上を伸ばしていくかについてかはUXをどこまで高められるかに尽きると思っている。

今回のABCマートの施策であれば、来店客が希望する靴が在庫としてない場合に、店側は顧客に対して取り寄せなのか、自宅に配送なのか、はたまた在庫のある店舗を伝えるなどの別案を提示することが可能だ。さらに、20万点の商品情報にアクセスできることで、スタッフの提案力アップによるUXも向上することが期待できる。

加えて、個人的に筆者がもっと広まれば嬉しいサービスがあるのだが、それはAIが自分の足の形に合う靴を在庫の中から提案してくれるというシステムだ。これはスーパースポーツゼビオの店舗で経験した感動的なサービスだ。

私の足は、左右でサイズが違うのはもちろんだが、足の甲が人よりも高くて、足の幅も広いという癖がある足なのだ。店舗スタッフは足の計測を進められ仰々しい機械に乗せられて計測をした。すると、計測装置のディスプレイに私の足にフィットするシューズの一覧が表示され、それぞれのシューズにフィット具合を数値化して表示するという優れものだった。

いざ実際に96%のフィット率を誇るシューズを試着してみたところ、まさしくフィットした。私がその靴を購入したことは言うまでもない。さらに後日、オンラインで色違いを2つ買い足した。

思い返してみると最高のUXだし、実際に店舗の売上につながり、ある種私はゼビオのファンになったのだ。靴の小売業界もこのような感動を与えるUXを生み出せるかが競争力を高めるポイントになってくるだろう。

執筆者/
リビルダーズ編集部

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