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(別サイト「パイオニア株式会社 プレスリリース」を開きます。)
2023年2月9日、パイオニア株式会社は、同社の車載器「NP1」と、株式会社あきんどスシローの回転すしチェーン「スシロー」と情報を連携しDXを推進することを発表しました。
「NP1」はパイオニア社が提供する、声で操作する車載機です。これまでの機器は目や手を使って操作を行うものが主流でしたが、声だけで操作や案内が可能になることでドライバーへの負担軽減を実現します。ドライブレコーダーの機能や、Wi-Fi機能、運転中の位置情報を取得する機能などを搭載しており、カーナビの機能も備えています。
スシローは2015年2月にスマホアプリをリリースしており、以後様々なアップデートを重ねてきました。現在はアプリで順番予約、指定日時予約、持ち帰り予約、ポイント付与等が可能なものになっています。店舗ごとに待ち時間などを表示するなど、顧客が利用しやすいような工夫を実施しています。
昨今、飲食業界ではデータ活用によるDXが推進されており、業務の効率化、 サービス改善の動きが活発化しています。そこで、NP1とスシローアプリのAPI連携を行うことで、NP1利用者に対して効果的な情報を提供します。2023年2月27日より、サービス提供第一弾として、2つの取り組みを開始します。
取り組みの一つ目は、店舗情報の提供手法を新たに構築することです。これまでスシローアプリで確認できていた混雑状況、キャンペーンの情報などを、NP1を通じて音声・画像で案内します。自動車の位置情報をもとに近い店舗の混雑状況やキャンペーン情報をアナウンスすることで、計画的なドライブを実現できます。
2つ目は、店舗情報と位置情報、カーナビ機能を用いたスムーズな店舗予約です。スシローアプリによる店舗情報の配信は、NP1専用アプリの「My NP1」に自動保存されるので、目的地までの所要時間などと連携して予約時間を適切に設定できるなど、スムーズな予約が可能になります。 今後も両社連携のもと、新たなサービス提供を進め、ユーザー体験価値向上につなげていく方針です。
【執筆者コメント】
今回は車載機メーカーのパイオニアと、回転すしの大手企業「あきんどスシロー」による新たな顧客体験を生む取り組みに着目しました。顧客の動線に限界を定めないという点で、柔軟な取り組みだといえるでしょう。
2015年にスシローは自社アプリを展開しました。現在のアプリは様々な機能が付いています。他社のアプリもインストールしてみると、機能としては大きな差はありませんでした。
主な機能は来店予約(位置情報活用)、持ち帰り注文、店舗情報、クーポン情報、会員登録、メニュー閲覧、スマホ経由での注文、株主優待券の連携等です。アプリストアの評価はスシローが一番高く、UI、デザインはスシローが一番洗練されているように感じました。
また画面遷移はスシローがやや重くなるときがあるもののどのアプリも問題ないスピードです。ITの活用は各社行っている中で、アプリの性能ではあまり差がありませんでした。またお客さんを取り込む機能としても差が無いと言えるでしょう。
上記のような点から、NP1への連携で新たな客を取り込める機能は非常に評価できます。NP1を搭載している車を利用しているのであれば、回転すしを選ぶ際にスシローを選ぶ可能性が上がります。近くの店舗の検索や混雑情報のチェック、スムーズな予約ができるという他社にはないメリットがあるため、NP1を利用している回転すしを食べたい見込客の取り込むことができ、まだスシローに向かっていない顧客をスシローへの動線に導く働きが見込まれます。
このように、企業が関与できる顧客の行動段階に限界を設けずに、新たな視点からアプローチすることは有効であると言えます。例えば同様の発想として、JR東日本が出しているアプリと飲食店のアプリの連携などを行えば、経路検索と同時に近くの飲食店を検索し待ち時間を表示することで、JR東日本のアプリ利用者に対し店舗利用促進ができます。
今回の協業は、まだ行先の決まっていない消費者をどのように取り込むか、という集客の課題においても、IT活用と新たな視点を融合させることで、新たな視点の取り組みができるという良い事例だと考えます。
執筆者/
リビルダーズ編集部 橋爪 勝万