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【医療DX】 Contrea株式会社、インフォームド・コンセント支援の眼科向けサービスのリリースを発表

情報発信元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000062517.html
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医療者と患者さんを繋ぐプラットフォーム「MediOS」を提供するContrea株式会社は、眼科を対象としたインフォームド・コンセント動画をリリースしたことを発表した。

眼科診療を取り巻く現状と課題

眼科はいくつもある診療科のなかで、特に患者数が多い診療科の一つである。そのなかで最も多い疾患が白内障だ。白内障は年齢とともに有病率の増加がみられ、60歳代では約70%、70歳代では約90%、80歳以上ではほぼ100%の方が発症する。

また、白内障の患者数は約4000万人と推定され、白内障の手術は日本における全手術件数の10%以上を占めている。白内障だけでなく、緑内障や網膜疾患など眼科医の診療範囲は多岐に渡っており、患者数・手術件数ともに非常に多いことも眼科の特徴だ。

以上の理由により、手術の前に患者さんに病状や手術方法、合併症のリスクなど治療に関する説明を行ったうえで患者からの同意を得るプロセスである「インフォームド・コンセント」が眼科医の業務負担の一つになっている。

それに加え、2020年から白内障手術に用いる眼内レンズに対して選定療養制度(※1)が開始されたことにより、治療選択の幅が広がり医師の説明負担はさらに増している。実際に、大病院では年間1000時間をインフォームド・コンセントに充てており、本来注力すべき、日々の診察や手術業務などを圧迫しているような現状がある。

(※1)選定療法とは・・・

社会保険に加入している患者が、追加費用を負担することで保険適用外の治療を、保険適用の治療と併せて受けることができる医療サービスの一種。

引用元:Answers(アンサーズ)選定療法とは

インフォームド・コンセントのうち大半を占めているのは、疾患の概要や手術を行った際に生じる合併症のリスクなど定型的な内容の説明だ。そのため、医師は多くの患者さんに対し、同内容を繰り返し説明する状況となっており、これらも同様に医師が負担を抱えている一因となっている。

医療者と患者を繋ぐプラットフォーム「MediOS」とは

MediOSとは医師が行っていた定型的な説明内容を、分かりやすいアニメーション動画によって代替するサービスだ。繰り返し行われてきた定型的な説明を動画で再現して効率化することで、医師は限られた診察時間を患者ごとの具体個別な説明に充てることが可能となる。それにより、医師は患者との対話や個別性に即した説明、患者の意思決定差パートなどに注力することができ、業務効率のみならず患者の満足度や治療に対する納得度の向上に繋げることも可能だ。

【執筆者コメント】
今回は眼科におけるインフォームド・コンセントを支援するDXの例をご紹介いたしました。

インフォームド・コンセントは、1997年に行われた医療法の改正によって、医療関係者が行うべき努力義務としてはじめて明記されました。現在でも患者が納得する形で検査や治療が受けられるように説明することが、医療行為における大切な業務の一つとなっています。

NTTコムリサーチが平成29年に実施したインフォームド・コンセントに関する調査(※2)によると、医師は6割以上(65.3%)実践していると高い割合で回答しているのに対して、患者側の印象は4割弱(39.7%)と、2割以上の意識差が生じています

これも医療従事者不足によって、一人あたりの診察時間が不足し、十分な情報提供や、意思の疎通が実現できていないことによって発生していると言えるでしょう。

今回ご紹介したようなテクノロジーの活用によって、インフォームド・コンセントが正しく実施されることで、患者は治療法や処方される薬について自己選択・自己決定をすることができます(インフォームド・チョイス、インフォームド・ディシジョン)。

また、動画による説明によって、わかりやすくかつ一定の品質を保ったまま、医師の負担を減らしつつも、患者の選択の幅を広げることが可能となります。

医業のみならず、定型業務をテクノロジーで代替するといった世の中の大きな流れがある中で、「定型業務が無くなり、テクノロジーに仕事を奪われる」と考えるのではなく、「より本質的な業務に目を向けることができる」と考えられるかどうかが、DXと上手く向き合うカギとなりそうです。

(※2)NTTコム リサーチ|医師と患者のコミュニケーションに関する調査

執筆者/
リビルダーズ編集部 城間 礼音

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