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DXってあたたかい?「ひとりEC」に学ぶDX時代の仕事イメージ

 

「DXの目的がわからない」という、よく聞くお悩み。

翻訳すると ↓

「DXってなんかテクノロジーテクノロジー言ってて冷たい感じがするし、そもそも仕事がどう変わるのかイメージがわかない。だから、変える理由がわからない。」

ということではないでしょうか? (あくまで推測)

実はDXって、思ってるよりもビジネスをあたたかく、おもしろくしてくれるものかもしれない。そんなイメージがわく本を見つけました。

『個人でも売り上げを大きく伸ばせるネットショップ運営術「ひとりEC」(出版社:インプレス 著者:三浦卓也)』

ひとりでECを回し、3年連続1億円以上売り上げているミウラさん。その秘訣は「お客さんとのウェットな関係づくりへの、異常なまでのこだわり」。

この「ウェットな関係づくり」こそ、DXの「本筋」なのかもしれません。

 

ファンをつくることがビジネスに【本の概要】

 

ECはまだ「ネット上の自動販売機」です。

アマゾンで検索すると、商品が機械的にダーッと並ぶイメージ。
楽天で検索すると、LPがこれでもかと押し寄せてくるイメージ。

人工的で、一方通行なコミュニケーションによる顧客接点の場でした。

ですが、ミウラさんのECは「八百屋」。
双方向のウェットなコミュニケーションを売りにしていています。
 

引用:ミウラタクヤ商店HP https://miuratakuya.store/

サイトTOPにある「社会の脂肪を減らす健康食品屋」というキャッチコピーの通り、ミウラタクヤ商店は商品を売ってるだけのECではありません。

脂肪を減らしたいというお客さんの課題に伴奏するアドバイザーとして「ミウラさんをお買い上げ」するECです。お客さんは、LINEで無料ダイエット相談することができたりします。

つまり、ECの概念そのものが変わっているということです。

●従来のEC「商品情報を並べるだけの場」
●ミウラ商店「お客さんとコミュニケーションする場」

この変化に大きな役割を担っているのは、TwitterやLINEなどSNSコミュニケーションツール。まさにテクノロジーの発展がビジネスを変えている事例です。

DXは「テクノロジードリブンでビジネスを変えていくこと」だとよく言われます。

すこしかみ砕くと「テクノロジーを使うだけじゃなくて、そのテクノロジーの有用性をいかんなく発揮するためにビジネスのあり方そのものも変えなきゃいけないよ」ということになります。

つまり、従来のECにSNSをくっ付けるだけでは「コミュニケーションする場」にはならないということ。お客さんとのコミュニケーションに時間をかける、コミュニケーションの仕方をラフにする、などビジネス戦略・スタンスを変えなければ変革は起きないということです。

そんな、DX時代のビジネスヒントになりそうな話がたくさん詰まった『ひとりEC』。組織で働くことが苦手だったミウラさんの『ひとりEC』仕事術だからこそ、見えてくることが多い一冊です。

ここではポイントだけお伝えしていきます。

 

絆をつくることがビジネスになるDX

 

DXの主役は「SoE」です。

「System of Engagement」の略で、エンゲージメントという言葉が入っている通り、顧客との結びつき・絆を深めるシステムを指します。ECサイト、SNS、チャットボット、CRMなどがSoEにあたります。

対する「SoR (Systeme of Record)」がいわゆる基幹システム。レコードという言葉が入っている通り、情報を記録するシステムです。人事・会計・受発注管理などがSoRです。

SoEが主役と言ったのは、DXとはSoEを使ったビジネスに力を入れることだからです。

ですが実情、SoRの整備に終始してしまっている企業が多いと嘆いていたのが経済産業省発行のDXレポート2。SoRの整備はあくまで、SoEビジネスに全力投球するための行程にすぎません。

SoE=顧客との結びつき・絆を深めるシステム

では、SoEを使って、どうやって顧客との結びつき・絆を深めるのか。

その具体的なイメージを与えてくれるのが『ひとりEC』です。

 

新規顧客獲得よりも、既存顧客との関係性強化に時間をつかう

ミウラタクヤ商店の月商は「70%リピーター」です。

しかし当店のように「お客様の課題を解決する」という気概で、積極的にお客様と交流していくと、リピーター率は圧倒的に上がっていきます。

引用:『個人でも売り上げを大きく伸ばせるネットショップ運営術「ひとりEC」(出版社:インプレス 著者:三浦卓也)』

一般企業でも「お客様の課題解決が第一だ」と言っています。

ですがミウラさんのこのお話を聞くと、まだまだ世の中の企業のほとんどは、顧客の課題解決に伴走し切れていないのかもしれない…と感じます。ライザップが、高額でも需要が絶えない理由がわかる気もします。

ミウラさんがリピート獲得に振り切っている理由は「プレイヤーの増加」「ユーザーのリテラシー向上」の2点。競合が年々増えてきており、クチコミなど情報が出回っていることで新規顧客コストが高騰し続けているそうです。

ビジネスを立ち上げやすいDX時代は、競合が日々どんどん増える時代でもあります。カスタマーサクセスという職業の出現にも象徴されるように、既存を大切に、一人ひとりをファンにしていくビジネスが主流になる時代なのかもしれません。

 

コミュニケーションを楽しむ時間を増やすためのDX

このリピーター戦略のために、ミウラさんが重要視しているのが「LINを使ったコミュニケーション」です。

お客さんが感動してくれるくらい本気でお客さんの役に立つためには、多くの時間をLINEでのコミュニケーションに充てることが必須になります。

そのため、ミウラさんは「ムダな時間や施策をどんどん削る」ことにも注力しています。

①Shopifyを使い、改修作業の時間を大幅圧縮
②工数以上にメリットがないことは、思い切ってやらない

①はつまり「テクノロジーによる時間削減」です。
Shopifyは機能拡張に時間がかかりません。チャット機能をつけるために再開発など不要。追加アプリが充実しており、インストールするだけです。そのためミウラさんはShopifyを選択しています。

②は「これはやらないという決断による時間削減」です。
ミウラさんは「時間指定配達はやらないと決めている」そうです。工数がかかるわりに、そこまで重要なことではないと判断しているからです。企業ですと、ビジネスチャンスを逃すからと機能をフルにそろえてしまいがちです。

ミウラさんは、テクノロジーとやらない決断の両面で、徹底的に時間を削減し、最重要視している「お客さんとLINEでコミュニケーションする時間」を増やしているわけです。

DXは「人を、人間らしい仕事に工数を集中させること」とも言われます。ミウラさんのこのやり方はまさにその好例。これぞ顧客との絆をつくるSoEを使いこなしたビジネスのあり方です。

 

形式ばったコミュニケーションの排除

また、お客さんと「友達の距離感」になることも心がけているそうです。

たしかに、企業の形式ばったコミュニケーションではキャラクターや熱量を感じさせることはむずかしくなります。お客さんをファンにすることはむずかしいでしょう。

たとえば、ブログの冒頭で「酒を飲んで娘に絡んだら『臭い!』と一蹴されたアラフォーの三浦です」みたいなことを書いて軽くボケます。リアルな人となりを見せます。

『個人でも売り上げを大きく伸ばせるネットショップ運営術「ひとりEC」(出版社:インプレス 著者:三浦卓也)』

節度は保ちつつも、フレンドリーなコミュニケーションを取ることにも時間を割いています。たしかに「お世話になっております。」からはじまるコミュニケーションで、一個人のキャラクターを表現することはむずかしいでしょう。

このあたりもまた、ミウラさんの「やらない決断 (形式ばったコミュニケーションはやらない!)」が効いています。実際お客さんとのミウラさんのコミュニケーションは、友達のそれと変わらず、仕事を感じさせない楽しさがあります。

ちなみに、企業が作るコンテンツをCGM (Consumer Generated Media)、クチコミや商品レビューなど一般ユーザーが作るコンテンツをUGC (User Generated Content) と区別して呼びますが、参考情報としての価値が高いのはUGCです。いかにもCGMだと感じさせてしまう形式的なコミュニケーションはどんどん弱くなっている印象です。

この「形式主義から実質主義への転換」もまた、DXの一大テーマです。いちいち見積もりを取らなくても、料金はサイトに書いてあります。お世話になっております。ではじめなくても、失礼にならない、おもしろいコミュニケーションの取り方はいくらでもあります。

日本企業がなかなか乗り越えられない壁の一つですが、その向こうには、お客さんと遊ぶように仕事できる世界が待っています。

 

DXっていいじゃん。からはじまるDX推進

まさに、これからのビジネスをイメージさせるミウラさんのお話、いかがでしたでしょうか。ビジネスがいまよりもウェットで、面白いモノに変化していくイメージがわいてきたのではないでしょうか。

テクノロジーの力によって、ムダな時間を省きつつ、コミュニケーションを楽しむ時間を増やす。テクノロジーにあわせて、形式ばったビジネスを、一人ひとりの心に感動を提供していくウェットなビジネスに変えていく。

DXっていいな。って思えることから、DXの推進が本格的にはじまります。ぜひ、わかりやすい一つの参考事例として『ひとりEC』、読んでみてください。

 

■参考
『個人でも売り上げを大きく伸ばせるネットショップ運営術「ひとりEC」(出版社:インプレス 著者:三浦卓也)』

執筆者
リビルダーズ編集部

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